Sigur Ros/Kveikur

 去年、久々のアルバムをリリースしたSigur Rosの新作が早くも登場。
 前作の「Valtari」は、以前の路線をなぞった感じであまり面白みを感じなかったのですが、今回は今までよりも普通のロックバンドの音に寄った感じで、Sigur Rosっぽさは減ったかもしれませんが、それが逆に新鮮です。
 今回のアルバムを前にキーボードのKjartan Sveinssonが脱退し、Sigur Rosは3ピースバンドになったのですが、そのぶん「バンド」っぽくなった感じがしますね。
 Jónsiのソロのポップで華やかな盛り上がりとは違って、ドラムなどの低音が効いていてじわじわ盛り上げてくる曲が多く、このへんも「バンド」というものを印象づけます。


 アルバムは冒頭からいいのですが、特にいいのが3曲目の"Ísjaki"。ストリングスなどを使った綺麗なメロディなのですが、それにノイズを入れる感じで入るギター(なのかな?)がアクセントして非常に効いています。しかも、ドラムのグルーヴ感も出ていてSigur Rosにしてはノリもいい曲です。今回のアルバムで一番好きですね。
 この他、5曲目の"Stormur"もいいメロディーの曲ですが、このメロディーだともうちょっと以前のように荘厳な感じで仕上げても良かったかもしれません。良くも悪くも、やや「軽い」印象があります。
 6曲目のアルバムタイトルにもなっている"Kveikur"はいきなりうねるような歪んだ音で始まり、ベースで出していると思われるノイズっぽい音がほぼ全編を通して鳴り続けます。これも今までにはなかったタイプの曲ですね。
 7曲目の"Rafstraumur"は、Jónsiのソロっぽい曲。いい曲ですが、これはJónsiのソロの時のようなアレンジがいいかな。


 まあ、こんな感じですが、昔の路線の焼き直しだった「Valtari」にくらべれば圧倒的にいいですし、これからのSigur Rosに期待させるアルバムだと思います。


Kveikur
Sigur Ros
B00C1GBOU6