『ウルヴァリン: SAMURAI』

 昨日見てきました。
 ウルヴァリンX-MENも一度も見たことがないのに見に行ったのは、「外国人が撮る日本」映画好きだから。脚本は支離滅裂でしたけど、そういう視点からすると素晴らしいです!これは。
 日本を舞台にしたジェームズ・ボンド・シリーズの『007は二度死ぬ』が現代にパワーアップして蘇ってきた感じ。当然、侍も忍者も、そして侍ロボまで出てきます。
 さらに「これは『007は二度死ぬ』だ!」って思ったのは、主人公のローガンが汚いってことで日本有数の大金持ちである矢志田家に行って風呂に入れられるシーン。なぜか下女みたいのが二人いてキャッキャキャッキャ言いながら主人公をデッキブラシ見たいので洗うシーンは絶対『007は二度死ぬ』へのオマージュですよね(『007は二度死ぬ』ではショーン・コネリーが風呂で洗われてて「下の毛も金髪なのね。ウフフ」とか言われてた)。
 ちなみにデッキブラシは『千と千尋の神隠し』の影響だと思います。監督か脚本家か誰かは知らないけど、『千と千尋の神隠し』を見てたんでしょう。


 役者は主役のローガン(ウルヴァリン)がおなじみヒュー・ジャックマンで、矢志田の息子・矢志田信玄(!)が真田広之。ローガンを迎えに来る女剣士が福島リラというモデル出身で非常に特徴的な顔の人。矢志田信玄の娘でヒロイン的な存在マリコがTAOというこれまたモデルさん。演技は下手ですけど、立ち姿はきれいですね。そしてボディーガード役に小川直也が出ています(一瞬だけ)。
 

 以下、面白いシーンをいくつか紹介しますが、新鮮な気持ちで見たい人は読まないでとりあえず映画館に行ってください。


 冒頭のシーンは第2次大戦中の長崎。海辺の基地みたいなところにB29がやってくる。それを見た兵士たちは「広島と同じやつだ−。もう終わりだー。逃げろ−」と、なぜか原爆のことをよく知っているみたい。
 若き日の矢志田はそこでローガンを助ける。その後、上官とともにいきなり切腹しようとするけどローガンに助けられる。


 矢志田家につくと真田広之がカンフーアクションみたいなものを交えた剣道をしている。
 マリコ真田広之に叩かれて雨の中走って行って壁から身を投げようとする。屋敷は東京タワーの見える都心部のはずなのに壁の下は断崖絶壁の海。


 矢志田が死んで葬儀は芝の増上寺。ここは頑張ってロケしている。
 葬儀中、マリコに焼香をうながす坊さんの袖から刺青が見えて、ローガンは罠だと気づく。→坊さんたちはやっぱヤクザで大乱闘→そこからチェイスが始まるんだけど、芝の増上寺から始まって秋葉原を挟んで、何故か一瞬高田馬場が映った後の上野という流れ。途中、パチンコ屋で一息ついたりもしているんだけど、ほぼ走っての移動。みなさんがんばりました。


 上野からは新幹線。ローガンが「500キロ出るんだろう?」とマリコに聞き、マリコは否定せず。
 そして新幹線の屋根の上での大アクション。このシーンは流石の迫力だけど、新幹線の屋根はどこまで行ってもまっ平ら。パンタグラフはないのか?
 ここですごいのは実はヤクザの方。新幹線の屋根にドスを突き立てて、飛ばされないようにしながらウルヴァリンに対抗。まさに超人!


 途中下車してラブホテルに宿泊。このラブホテルのシーンだけは妙にリアルで念入りにリサーチしたことがうかがえる。
 その後、高速バスで長崎に移動したみたいなんだけど、その高速バスは完全に路線バスで行き先表示のところだけが「高速」。 
 この長崎ではマリコがローガンに日本文化の精神性とやらを諭して、特に理由もなく浴衣を着てエッチな展開という王道パターンです。


 そこからすったもんだあって、雪国の五重塔みたいな巨大ビルでサムライロボットとの対決という無茶苦茶な展開に雪崩れ込んでいきます。
 あと、敵役の一人が政界のホープと言われる法務大臣で、「法務大臣の権力を知らないのか!」というセリフを言うんだけど、日本の法務大臣に誇るほどの権力があるとは思えないし、あんま政界のホープっぽいポストじゃない。


 こんな感じで見どころはたくさんです。年末の『47RONIN』も楽しみになりました!


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