ロンドン出身、現在はオーストリアを中心に活動をしているアーティストSOHN(ソン)のデビュー・アルバム。
彼はRhyeやLana Del Reyなど近頃人気のアーティストのプロデュースやリミックスなどを手がけている人物で、このソロアルバムも非常に「今っぽい」音になっています。
当然のようにダンスミュージック的なリズムを使いこなしつつ、踊りまくるわけでもなくあくまでもクールにきめてくる。で、ギターなんかはほとんど使わずにキーボードの音を歪ませてゆらぎのようなものをつくり出す。
こんなふうに紹介してもSOHNの「今っぽさ」は伝わらないかもしれませんが、この"Artifice"という曲のPVを見ればわかっていただけるんじゃないでしょうか。
ジャンル的にエレクトロニカといっていいのかもしれませんが、上記の"Artifice"のようにシンガーソングライターっぽさもあり、歌心のようなものがあるのも、このSOHNの特徴。
で、この歌心があるから7曲目の"Fool"のような曲もたんなるアンビエントのようにならずにドラマチックになる(もちろん音の使い方も上手いんですが)。つづく8曲目の"Lights"を含め、ちょっとトム・ヨークを思い起こさせるところもありますけど、こちらのほうが少し軽い。重苦しくなりそうなところに、いかにも通俗的なフレーズをぶつけたりして重すぎにならないように計算している感じです。
計算されているぶん、驚きのようなものはないですが見事に計算された音とアルバムであることは間違いないですね。
Tremors
SOHN