『GODZILLA』

 あんまり良い評判は聞かなかったんですが見てきました。
 内容的には「ゴジラ対ムートー」ともいうべき感じで、ムートーのオスとメスの二匹の昆虫のような怪獣とゴジラの対決がメイン。よくわからないけど、ゴジラが人類にとって都合の良い存在であるというは、ガメラシリースに似ているかもしれません。
 戦争の記憶やビキニの核実験に呼応する形でつくられたのが初代ゴジラなわけですが、このハリウッドのリメイク版ではオープニングでビキニの核実験とゴジラの姿を偽史的な形で見せ、さらに日本での原発事故(映画では1999年に起こったことになっている)と原発周辺の立入禁止区域で行われている秘密のプロジェクトを絡ませることで、現代に復活するゴジラの意義というものを示そうとしています。
 また、ハワイでの津波のシーンも明らかに東日本大震災にインスパイアされているでしょう。


 が、
 そうした設定は面白いものの、細部がいい加減なのでゴジラの意義、テーマ性のようなものに関しては残念ながら空振り。
 原発事故が起きた日本の街が「JANJIRA」ってなっているんだけど、ジャンジラ?
 また、主人公の父親が遭遇する原発事故のリアリティみたいのも皆無。ジュリエット・ビノシュがお母さん役で出ていて、そこに時代の流れを感じるくらいですかね。
 その後の展開でも、基本的に主人公を中心とする人間ドラマには見るべきところはないですし、渡辺謙の演じる芹沢博士も重要そうでたいして何もしていないです。途中で、芹沢博士が8月6日の8時15分で止まった時計を取り出して、「父親の形見だ」と言うんですが、芹沢博士は何歳なんでしょう?
 また、後半での核に対する扱いの軽さも気になります。


 が、
 全然ダメかというとそうでもない。
 何と言ってもハワイでのゴジラの登場シーンがかっこいいです。部分→全体像へという怪獣映画の撮り方を心得ていますし、ゴジラが吠えるシーンも安売りしないで、「ここぞ」というところで決めてきます。
 ムートーとの格闘シーンも悪くないですし、アメリカ軍の対応がへぼすぎるという点を除けば、スペクタクルとしては良く出来ています。
 だいたい、ゴジラ・シリーズというのは初代を除けばたいしたものではないですし(平成以降のシリーズはきちんと見ていないのですが)、ゴジラがきちんと暴れればそれで満足というのもあります。
 それにしても主人公とその奥さんは頭悪そうでしたが…。