The Antlers/Familiars

 The Antlersの4枚目のアルバム。
 個人的には前前作に比べて前作は少しダークになって、もうちょっとポップな面が聴きたかったな、と思っていたんですけど、この4枚目の決してポップではない。
 むしろさらに落ち着いてしまった感もあるのですが、今回はトランペットの使い方が非常に上手くて、静謐さの中にもメリハリが付くような構成になっています。


 まずは1曲目の"Palace"、このアルバムの特徴を代表する曲で完成度も高いですね。きれいなピアノから始まって、トランペットが入り、ボーカルが次第に盛り上がっていく。このアルバムではこのパターンの曲がけっこうありますけど、メロディといい、曲の展開といい、この曲が一番でしょう。
 他にも4曲目の"Intruders"もゆったりとしているようで、どこか不穏な感じもある曲で、ここではちょっと癖のあるボーカルの声が曲のアクセントになっている。6曲目の"Revisited"も非常に優しい感じで始まりつつも、トランペットやピアノ、そしてささやくような歌い方からボーカルが次第に力強くなり、後半はかなりエモーショナルな曲になっていく。個人的にはもうちょっとトランペットがはじけて欲しいところですが、いい曲だと思います。
 8曲目の"Surrender"はメロディのちょっとしたアクセントが印象に残る曲。またラストの"Refuge"も後半のトランペットが印象的です。


 というわけで、アルバム全体のトーンは似ているのですが、その中で上手くアクセントをつけることができたといっていいでしょう。ボーカルの声にも聴かせる力があります。
 


Familiars
The Antlers
B00JFJTE4A