2014年の映画

 ここ3年ほど毎年のように「今年はあまり見れなかった」と言い訳をしているわけですが、今年もそう。
 ほぼ近所のシネコンでしか映画を見ていないという、あまりに「ぬるい」映画鑑賞の状況なわけですが、毎年やっているので今年も5作品。


1位 『ジャージー・ボーイズ

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ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント 2015-02-04

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 クリント・イーストウッドの作品なのでハズレはないだろうと思ってはいましたが、さすがの出来。
 1960年代に大ヒットを飛ばしたフォー・シーズンズの誕生から、スターの座を駆け上がり、バンドが崩壊し、再びフランキーがソロとして新たな一歩を踏み出すまでを描いた作品で、ブロードウェイのミュージカルとして大成功した作品を映画化になります。
 バンドの空中分解を描いているのですが、このあたりの描き方が非常に上手い。どうしようもないチンピラでありながら愛嬌のあるトミー、ビジネスライクなボブ、一番地味なポジションに安住できないニック、その間で揺れるフランキーと、この4人の関係性の描き出し方が見事です。特にダメさと魅力が同居するトミーの描き方はイーストウッドならでは。


2位 『インターステラー


 「ノーラン版『2001年宇宙の旅』!」みたいな前評判をさんざん聞いていたので、グレッグ・イーガン的な世界観(宇宙観)で撮られた『2001年宇宙の旅』のようなスタイリッシュな作品を想像していましたけど、思ったよりもヒューマンドラマで、そのヒューマンドラマが良く出来てました。
 壮大な相対性理論の世界と親子の絆がシンクロする構成は、いわゆる日本のマンガやアニメに見られる「セカイ系」を思いおこさせるものですけど、漠然とした「切なさ」や「泣き」を中心に持ってくる「セカイ系」とは違って、ディテールをしっかりとさせつつ、老若男女が感動できる家族ドラマに持ってくるところがお見事だと思います。


3位 『ゼロ・グラビティ

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ワーナー・ホーム・ビデオ 2014-04-23

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 「去年の映画じゃんか」と言われそうですが、見たのは今年なので。
 3Dは嫌いなのですが、これは3Dにする必然性のある映画だし、また、新しい映画の一つの形を見せてくれた映画。今年の映画鑑賞はこの『ゼロ・グラビティ』で始まり、『インターステラー』で終わったわけですが、両者は同じく宇宙をテーマとする作品ながら、映画としては正反対とも言えるアプローチをとった映画だったと思います。
 ドラマを極力排除してひたすらサバイバルを見せるこの映画を見て、ちょっとポール・グリーングラスの『ボーン・スプレマシー』を思い出しました。『ボーン・スプレマシー』ではひたすらボーンの行動を見せることで緊迫感を持たせていましたが、この『ゼロ・グラビティ』もドラマを削ぎ落とすことでうまく緊迫感を高めています。


4位 『それでも夜は明ける

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ギャガ 2014-10-02

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 『それでも夜は明ける』という邦題(原題は『12 YEARS A SLAVE』)で、アカデミー賞作品上受賞作!でしかも実話が元になっているというと、壮大なヒューマン・ドラマを想像しますが、この作品はそういった「ヒューマン・ドラマ」という語り口があまり似合わない作品かもしれません。見た人の多くはそう感じると思いますが、想像以上にこの映画は「ヘヴィー」です。
 あらすじだけを聞けば「家族を信じて12年間希望を失わなかった男!」というようなキャッチフレーズが浮かんできますし、映画の予告編もそんな感じで作られていたと記憶しています。ところが、この映画はそうした「希望」や「家族」の素晴らしさを謳いあげるというよりは、「希望」や「家族」といった言葉が通用しない「狂った世界」を描いた作品で、その「狂った世界」が見事に描かれています。


5位 『私の男』

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Happinet(SB)(D) 2015-02-03

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 前半は素晴らしい。けど、途中の血の雨の演出はどうなのか?と思いますし、舞台が北海道から東京に移ってからの「汚さ」も気になる。
 ただ、それでも主演の二階堂ふみの大げさのセリフでもそれが浮かない説得力のようなものはさすがでしたし、浅野忠信もゲスい男を演じさせるとこれ以上ないくらいにはまりますね。
 近親相姦というすごくダメになりそうなテーマを主演二人の力でうまくもたせた映画だと思います。


 次点は『her/世界でひとつの彼女』。そして、『フューリー』と『ゴーン・ガール』は見れずに年越し…。