2014年の紅白を振り返る

 あけましておめでとうございます。
 このブログの新年一発目は紅白を語ることがもはや儀式になっているので、さっそく紅白の総評から。
 第一部は例年以上に落ち着かない構成で、一言で評するなら「空元気」。いくらアベノミクスとかで景気に光が見えてきたからといって、細川たかしに♪生ビールがあーるじゃなーいか♪ねんて歌われても困るわけですよ。
 福田こうへい"東京五輪音頭"、藤あや子"あや子のお国自慢だよ 〜がんばろな東北!!〜"とかも、歌は上手いんだからもうちょっと聴かせる歌を歌えばいいのに…と思うんですけど、これが今の日本の「空気」なのか。
 ただ、第2部は良い歌も多かった!
 去年、「紅組のほとんどの歌手よりも上なんじゃないの?」と思わせた薬師丸ひろ子を出して、さらには中島みゆきと、後半の紅組は良かったと思います。去年は「紅組の死」とか書いたけど、甦った!

 
 演出については、第一部はごちゃごちゃしすぎだし、「花子とアン」コーナーは去年の「あまちゃん」企画をなぞり過ぎだろうと思いましたけど、V6三宅の「踊らされている」発言や、黒柳徹子の「きよし〜」コールとか面白いとこもあった(「踊らされている」発言は演出じゃないでしょうけど)。
 

 以下、個別の歌手についての短評。


E-girls→平均年齢は知らないけど、AKBグループじゃないんだから"Highschool love"なんて曲じゃなくても。
クリス・ハート中島みゆきの名曲をカヴァー。第一部の中では聴かせたし上手いんだけど、本家が出てくると消し飛ぶ上手さではある。
西野カナ→悪くはないけど、どうしても西野カナには情念系の歌を期待してしまう…。
香西かおり→May J.の前では霞むけど、今回の紅白で扱いのひどかった歌手の2番手くらい。演出もかわいそうだがカメラワークもかわいそう。もう少し写してあげるべき。
 

 本当に第一部は書くことがない。一番良かったのは妖怪ウォッチ+嵐の"A・RA・SHI"だったんじゃないかと思えるほど、きちんとサクラップも入っていて、♪悲惨な時代だって言っちゃってる♪って言っちゃってて満足しました。


May J.→さすがにかわいそうな一年の締めくくり。松たか子が期待されている所に出てきて、それなりに歌い上げたと思ったら、後から出てきた本家のイディナ・メンゼルが桁違い!ドラゴンボールにおけるフリーザの父親のような存在だった。合掌…。
氷川きよし水森かおりとセットで出てくるようじゃいかんすね。そろそろ真面目なヒット曲が欲しいところ。
五木ひろし→近年のペラペラムード歌謡路線には評価を下げていたけど、今回は渾身の"よこはま・たそがれ"。声の張りは落ちたけど、それを補うテクニックはさすが。この日本の演歌・歌謡曲で培われてきた技巧も五木ひろしで終わってしまうのかな、と考えてしまった。
TOKIO→20周年で原点回帰の"LOVE YOU ONLY"、「バカ曲だけど名曲」というこの曲で大いに湧かせてくれたんじゃないでしょうか。フェスも経験したせいか長瀬の煽りも上手く、盛り上げた!
SMAP→"世界に一つだけの花"、中居くんが過去最高に外さずに歌ったんではないだろうか。
薬師丸ひろ子→去年もべた褒めしたけど、やはり声がいいしスケール感がある。素直な歌い方もよいっす。
石川さゆり→サブちゃんはいなくても石川さゆりがいるならば、年は越せる!
長渕剛→とりあえず「ふしぎなうごき」が気になって仕方なかった。何かに座っていたのか?空手の動きなのか?よくわからないけど『医龍』における坂口憲二の屋上のでエア手術を思い出させる足の動き。歌自体は力は入っているけど歌詞の語彙が少なすぎるのでは…。
中森明菜→出てきた時は激突事故を起こした後に滑った羽生くんレベルの顔色の悪さで、大丈夫か?と思いましたが、改めて声や歌い方はいいんだなと。ただバックの映像がカラオケボックスのバックで流れる映像としか思えなかった。
AKB48→もっと前に出すべきでしょ。一応、紅組の出演順としては石川さゆり中島みゆきに挟まれているわけで、きゃりーぱみゅぱみゅあたりの位置に入るべき。
中島みゆき→さすが。声量、技術、スケール感、どれをとっても文句なしの歌いっぷり。"麦の唄"、2番以降をきちんと聴いたのは初めてだったけど、ラブソングとしてもきちんとしているんですね。
美輪明宏→こちらもさすがだけど、個人的にはもう少し崩さずに歌ってくれたほうが好み。
サザンオールスターズ→"ピースとハイライト"をもってきたのは安倍政権や籾井・百田体制のNHKへの批評と見るべきか、でも、この曲のカップリングの"蛍"が『永遠の0』の主題歌なわけで、そんな批評性はないのか?個人的にはNHKへのからオファーを受けてこの曲を選んだという態度はいかにも桑田佳祐らしいなと思いました。
嵐→大野君だけずっと宙吊りで♪Smile Again♪とコーラスし続ける演出を一瞬期待しましたが、そんなわけはないいですよね。
松田聖子→なぜ、一番大事な部分を崩しちゃうかな。素直に伸びていく声こそ松田聖子の魅力なんではないかと思うわけですけど。


 こんな感じで第2部は充実していたと思う。
 勝敗的には薬師丸ひろ子石川さゆり中島みゆきのいた紅組に軍配をあげたいところですが、サビの松田聖子がやや締めそこなったか。
 それにしても後半にスペシャルゲストを何組も入れてくる構成はどうなのか。特にサザンがあの位置に入ったらあとはトリしか残らないわけで、それはもはや「歌合戦」ではないのではないかと。
 最後の紅白それぞれ4組くらいは雑音無しで「歌合戦」をしてほしいというのが個人的な希望です。