TV On The Radio/Seeds

 個人的に00年代No.1とも言っていいバンド、TV On The Radioの5枚目。
 前作の「Nine Types Of Light」がかなり地味な感じだったのに比べると、今作はかなり派手でポップ。印象としては「Dear Science」に近い感じです。
 とにかく、全体を通して聴きやすい曲が多く、メロディもキャッチー。今まであったマニアックな感じがずいぶんと消えていて、どの曲を切り取っても楽しめるようになっています。
 単純に曲の点数を合計していけば、TV On The Radioの中でも高得点になるでしょう。

 
 ただ、何かが足りない。
 今までのTV On The Radioといえば、常に「一番新しい音楽」をやっている感じがあったのですが、そうしたラディカルさがこのアルバムからはあまり感じられないんですよね。
 3曲目の"Could You"なんかも、ホーンを上手く使ったかっこいい曲なのですが、今までならホーンでももっと凝った使い方をしていたんではないかと("The Wrong Way"とか衝撃的にかっこよかった)。
 6曲目の"Love Stained"もいいですし、8曲目の"Right Now"もかっこいいんですが、もうワンパンチ欲しい気もするんですよね。
 

 ただ、ポップに振り切れている感のある7曲目の"Ride"はいいですね。TV On The Radio特有のダークさがまったくなくて逆に新鮮。こういった路線に進化していくというのもありかもしれません。
 また、10曲目の"Lazerray"も今までにはなかった激しい曲。これもまたTV On The Radioの新しい姿なのかもしれません。
 

 というわけで、自分が期待するTV On The Radioの姿とは少しずれている部分はありますが、新境地も見せていますし、何よりも個々の曲のレベルはさすがに高いです。
 今までのTV On The Radioを知らない人にはかえって良いアルバムかもしれません。



Seeds
TV On The Radio
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