Kendrick Lamar/To Pimp A Butterfly

 1stの「Section.80」に収録されている"Rigamortus"のかっこよさにしびれたKendrick Lamar。ジャズのトランペットのサンプリングをループ的に使ったトラックが気に入ったわけですが、実は評価の高い前作「good kid, m.A.A.d. city」に関しては、そういったトラックの良さが響かず、世の評判ほど良いとは思いませんでした。
 ところが、今作は来ましたね。2曲目の"For Free? (Interlude)"のジャズピアノのトラックに機関砲のようなラップ。個人的に期待していたものが来たっ!感じです。
 リリックやラップのスキルこそがヒップホップの真価であるという見方は、確かにそうなんでしょうが、英語ができるわけでもなく、普段はポップスやロックを聴いている身からすると、耳に入ってくるのはまずトラック。今作はこのトラックがとにかく良く、ヒップホップファンだけでなく、もっと幅広い層に届く作品になっていると思います。


 "For Free? (Interlude)"以外も、Boris Gardinerの『Every Nigger Is a Star』をサンプリングした1曲目の"Wesley's Theory"、不穏な叫びが響く"u"、ヘヴィーな"The Blacker The Berry"もいいでし、ソウルフルでファンクな"i”のトラックもいいですね。他にもジャズやらブルースと行った黒人音楽の遺産を十分に活かしたトラックが良いです。
 ラッパーとしてもすごいんでしょうが、Kendrick Lamarはこのアルバムで音楽的な面から見ても時代のトップランナーになったのではないでしょうか?



To Pimp a Butterfly
Kendrick Lamar
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