「若冲展」

 上野の都美術館に昨日行ってきました。
 昨日は平日に雨、行ったのが昼の12時頃という空いてそうなときを狙ったのですが、それでも入場まで50分待ち。案の定、祝日の今日は120分待ちくらいになっていたようです。
 ただ目玉の「動植綵絵」と「釈迦三尊像」はかなり広いスペースに展示してあるので、入れば巻物系以外は大きなストレスなく見れました。巻物系については、せめて巻物の展示に音声ガイドを付けるのはやめて欲しいですね。音声ガイドは人の流れを悪くする元凶と常々思っているのですが、最前列の人しかきちんと見えない巻物でそれをやられると厳しい。


 展示内容に関してはさすがの内容。「動植綵絵」と「釈迦三尊像」という代表作が揃い踏みで、しかもブライス・コレクションの「鳥獣花木図屏風」も見ることができる。水墨画以外は代表作がほぼ出揃っているといっていいんじゃないでしょうか。


 「動植綵絵」は以前、「皇室の名宝展」でも見たことがあって、初見のような圧倒的な驚きはありませんでしたが、それでも「芦雁図」の構図の良さに改めて気づきましたし、やはりこのシリーズは豊穣な江戸時代の絵画の中の一つの頂点なんだと思います。


 伊藤若冲は18世紀の人なんですが(1716年に生まれて1800年に死んでいる)、西洋画で言うとバロックから後期印象派くらいまでのさまざまな試みを一人でやっている感じで、その方法の追求には驚かされます。
 対象をとことん観察するハイパーリアリズム的な絵もあれば、長沢芦雪のような人を喰った絵もありますし(「象と鯨図屏風」とか、さらには画面をタイルで構成する「鳥獣花木図屏風」、後期印象派のような点描で石の質感を描いた「石灯籠図屏風」など、写実を離れて技法を追求したような絵もあります。
 また、今回は木版着色の「花鳥版画」シリーズが出品されているのですが、そこでのモダンな色遣いにも驚かされます。
 

 あと、今回の「若冲展」を見るアドバイスとしては、巻物の「菜蟲譜」は最後まで頑張ってみたほうがいいです。巻物なので激混みだと思いますが、ずっとリアルに描かれた野菜や虫や両生類の後に、なぜかマンガ的なカエルがいて笑いを誘います。