Slow Club/One Day All Of This Won't Matter Anymore

 2010年代において個人的にもっとも期待しているアーティストSlow Clubの4枚目。
 2011年の2ndアルバム「Paradise」では、ちょっと変わったリズムや不協和音的な音も取り入れつつ素晴らしいポップスを、2014年の3rdアルバム「Complete Surrender」では、オールディーズの「フェイク」でありながら熱量のあるサウンドを作り上げていたSlow Clubですが、この4thは基本的に3rdアルバムの路線。
 

 ただ、熱量という点でいうと前半はそれほど感じないかもしれません。
 前作の熱量はなんといっても予想を超えた女性ボーカルRebecca Taylorの歌の力だったわけですが、今回は最初の2曲は男性ボーカルのCharles Watsonが歌っており、本格的にRebeccaの力強い歌声が聴けるのは5曲目の"Come On Poet"からです。7曲目の"Give Me Some Peace"、10曲目の"The Jinx"もRebeccaのボーカルが活きた曲ですね。
 

 そんな中で、今後の新展開を期待させる曲が8曲目の"Rebecca Casanova"。メロディはオールディーズな感じなんだけど、バックのサウンドがちょっと凝っていて、2ndアルバムでのリズムなどへのこだわりを彷彿とさせる。
 こういった試みがもっと出てきて、「これぞ!」という曲ができれば、もっと全然メジャーになってくるのでは?と期待しています。
 2nd、3rdに比べると全体の印象はやや弱いですが、それでも良いアルバムだと思いますし、Slow Clubの才能を感じさせてくれる出来にはなっています。

 


ONE DAY ALL OF THIS WON'T MATTER ANY MORE
SLOW CLUB
B01GIUNKNO