『未来を花束にして』

 昨日見てきました。
 原題は「Suffragette」、20世紀初頭の婦人参政権論者を指す言葉です。
 Yahoo!映画で紹介されているあらすじは以下の通りです。

1912年、ロンドン。夫と幼子との3人で生活しているモード・ワッツ(キャリー・マリガン)は、サフラジェット(女性参政権運動の活動家)の友人の代わりに公聴会に参加し、これまでの生き方に初めて疑問を持つ。その後WSPU(女性社会政治同盟)のリーダー、エメリン・パンクハースト(メリル・ストリープ)の演説を聞き、デモにも参加するなど運動にのめり込んでいく。しかし、活動を快く思わない夫に家を追い出され息子と引き離された上に、職場でクビだと言われてしまう。


 主人公のモード・ワッツは子どもの時(確か7歳の時)からクリーニング工場で働く若い女性で、女性に対して支配的に振る舞う工場長のもとで毎日重労働をしています。彼女は特に政治的な主張を持たない女性でしたが、同僚のヴァイオレット・ミラーに誘われ、議会の公聴会に出向いたことから、「自分にもまた別の生き方があるのではないか?」と運動に目覚めます。
 

 ところが、議会での活動はうまくいかず、そのことを議会の前で抗議すると警察に逮捕され留置場へ入れられてしまいます。
 一度は運動から身を引こうとするモードでしたが、エメリン・パンクハーストの演説を聞いたこともあって、再び運動にのめり込み、その運動も過激化していき、最終的には国王への直訴も考えるようになっていきます。


 このように流れとしてへ、運命を受け入れるだけと思っていた女性が自らの権利に目覚めて立ち上がるというオーソドックスな展開になります。
 当時の女性の置かれている状況がよくわかりますし、主人公を演じるキャリー・マリガンもいいと思います。社会問題を扱った映画として悪くない出来だと思います。

  
 ただ、このWSPUの運動が過激なんですよね。運動を前に進めるには世間の注目を集めるしかないという方針のもと、ロイド・ジョージの別荘を爆破しようとしたりします。
 そして、ラストでも国王の臨席するダービーでの思い切った行動が悲劇が人々の注目を集めて、それが1918年の男子普通選挙導入と同時の女子制限選挙の導入につながったというふうに描かれています。


 このダービーでの出来事は1913年、そして女子制限選挙が導入されたのが1918年です。
 ここで少し「おやっ?」と思うのは、この間に第一次世界大戦が挟まっており、女子制限選挙の導入は男子普通選挙の導入とセットで行われている点。
 第一次世界大戦においてはイギリスでも女性が労働力として活用されたわけで、女子参政権の部分的獲得の背景は、WSPUの運動の成果というよりも第一次世界大戦の影響なのではないか?という疑問も頭に残りました。
 このあたりは何か適当な本があったら読んでみたいですね。