『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』

 はじめに断っておくと、スター・ウォーズ・シリーズについては旧三部作(エピソード4・5・6)は面白く見ましたけど(4・5はテレビ、6は劇場)、そんなにシリーズに強い思い入れはないです。
 そのせいもあるのかもしれませんが、「今までのスター・ウォーズ・シリーズの流れを断ち切る!」とか「今までのスター・ウォーズをひっくり返した!」みたいに言われていた本作、個人的にはスター・ウォーズという映画のスタイルをきちんと踏襲して次につなげた映画のように思えました。


 確かにルーク・スカイウォーカーの描き方がいまいちだというのもわかりますが、「Zガンダム」におけるアムロを見ていると、異能者でもあり英雄でもある人物はあんなふうになるのではないかと思います。
 相変わらず主人公のレイについてはピンとこないのですが、カイロ・レンはいいですね。情けなさとひ弱さを抱えつつも悪の道を邁進する姿は、完全にこのシリーズの中核という感じで、旧シリーズでルークよりもハン・ソロにんん気が集まったように、今シリーズもレン>レイになるのではないでしょうか。
 今回もカイロ・レンとスノーク、カイロ・レンとルークといったように印象に残るのはカイロ・レンがらみのシーンだったと思います。


 一方、宇宙空間での戦いなのに爆撃機で爆弾落として破壊しようとしたり、完全に追い詰められているのにわざわざ他の惑星に人探しに行ったりと、細かい部分の甘さのようなものは気になりました。もうちょっとSF的な設定はしっかりと詰めて欲しいです。敵の兵器もそろそろなにか欲しいですよね。30年以上前の旧三部作からまるで進化していない。
 あと、主人公が女性、前作からパートナー的に行動するのが黒人男性、今作でその黒人男性とコンビを組むのがアジア系の女性と、政治的な正しさはばっちりなのですが、個々の役者にそれほど魅力を感じないのが難点です。
 途中から出てくるベニチオ・デル・トロはさすがの魅力なのですが、その使われ方も中途半端で、もう少しうまく組み込めなかったものかと思います。
 また、人種的な多様性にこだわるのはいいですが、そのせいもあるのか魅力的なエイリアンを創造することはできていないです。まだチューバッカに頼らざるをえないのが現状です。


 とはいえ、活劇としては前作の『フォースの覚醒』よりも面白かったと思いますし、ストーリーとしても前作をうまく引き継ぎつつ、次への期待を持たせるようなものになっていたと思います。