『ちいさな英雄』

 スタジオポノック制作の短編映画3本をまとめたもの。「ポノック短編劇場」の1作目と銘打っているので、今後も制作していくつもりだったのかもしれないけど、休みだった一昨日の午前中に見に行ったら観客は僕を含めて6人。厳しい…。
 それぞれの短編は丁寧つくられていますし、特に「透明人間」は表現としても素晴らしいんですけど、やはり15分位の短編3本で料金も普通のロードショーと同じという形態は厳しいのではないかと。料金同じなら70分くらいは欲しい。
 以下、各作品について。

 米林宏昌監督。カニの兄妹の話ですが、ジブリ的な背景と水や魚などのCGの組み合わせが非常に綺麗で面白い。ただ、『メアリと魔女の花』でも感じたけど米林作品はキャラが弱い。お父さんは『アリエッティ』のお父さんのまんまだし。兄妹もいたって普通。

  • 「サムライエッグ」

 百瀬義行監督。明るくて運動神経も抜群だけど重度の卵アレルギーの小学生シュンと母親を描いた作品。アレルギーの描き方が非常に丁寧で、子ども向けのアレルギーの啓発教材としても良いのではないかと思います。発疹とかも実写でやると引いてしまうかもしれないけど、このアニメだと目を背けずに見ることができて深刻さも伝わる。また、母親役の尾野真千子の声も良いと思います。
 あと10分くらい長いバージョンをつくってEテレで放送すると良いと思う。

  • 「透明人間」

 山下明彦監督。これはアニメならではの表現に満ちた良いアニメ。透明人間の透明である描写を見せるアニメかと思って見ていて、「なかなかうまいな」と思いながら見ていたのですが、透明人間は質量が軽いという設定もあり、中盤以降のその描写が素晴らしいです。主人公もほとんどしゃべらないので、わざわざオダギリジョーがやる意味は?という疑問も浮かびましたが、言葉がなくても絵と動きで魅せる映画になっています。

 
 もうそろそろ終わってしまうのではないかと思われますが、お金に余裕があるか、安く見れる術があるなら見ておいて損はないと思います。