Yves Tumor / Heaven To A Tortured Mind

 一昨年に出たアルバム「Safe In The Hands Of Love」がなかなか面白かったイヴ・トゥモアのニューアルバム。

 より複雑なことをやってやろうというアーティストが目立たなくなったような気がするこのごろですが、このYves Tumorはひたすら複雑で変態的なことをやろうとしています。ただし、前作の感想を書いたときに「変態の中のポップ」と書いたように、ノイズやわざと気持ち悪さを加味したような声で歌っていてもその奥にはきれいなメロディの片鱗を感じさせるのがこのYves Tumorの面白いところ。

 2曲目の"Medicine Burn"なんかもゲロ吐くような感じで歌っていますけど、どこかしら聴きやすさがありますし、女性ボーカルを入れた4曲目の"Kerosene!"なんかでは明らかにギターに綺麗さが出ています。6曲目の"Romanticist"も短い曲ながら、ポップセンスを感じさせるメロディで、このアルバムの後半では変態的な部分は後退し、オシャレと言えるような展開も見せています。

 ただ、前作に比べて変態性が薄れたぶん、アルバム全体の印象もやや薄れてしまった感はあります。難しいですね。

 


Yves Tumor - Romanticist / Dream Palette (Official Audio)