今年もたいして枚数は聴けずで5枚だけあげますが、Badly Drawn Boyのまさかの復活とか、ほぼノーマークのAnjimileを発見できたりとか、良かったと思うこともいくつか。
ただ、邦楽は相変わらず新しいアーティストを見つけられずで、時流から取り残され続けている感じですね。
1位 Phoebe Bridgers / Punisher
"Kyoto"のPVを見て買おうと思ったのですが、このPV、「日本で撮影しようと思ったけどコロナで撮れなかった?」と思わせるようなペラペラの映像、音的にもけっこうペラペラな感じです。
ただ、これが何とも気持ちいい。ペラペラなんだけどトラックのメロディにはしっかりとした良さがあります。
このペラペラっぽいけど、トラックが何とも心地よいというのは他の曲にも共通する部分で、さらにはボーカルの良さも相まって非常に完成度の高いアルバムに仕上がってます。
2位 Anjimile / Giver Taker
ボストンを拠点に中心に活動しているアフリカ系アメリカ人のシンガーソングライターAnjimile(すいませんが読み方はよくわからない)のデビューアルバム。ちょっとググったところによるとトランスジェンダーの人でもあるらしいです。
黒人の音楽というとなんとなく、派手であったり、ダンサブルなものを想像しがちですが、このAnjimileの音楽は非常に内省的な印象を受けます。
静謐さを感じさせるようなきれいなメロディは、ちょっとSufjan Stevensの静かな曲を思い起こさせますが、Sufjanに比べると、リズム的な面白さもあって、それがアルバム全体の良いアクセントになっています。注目すべき才能だと思います。
3位 宮本浩次 / 宮本、独歩。
このアルバムの魅力は何と言っても宮本浩次の歌唱力。エレファントカシマシ時代から良かったわけですけど、このソロアルバムではさまざまなジャンルに挑戦して、そしてすべてを歌いこなしている。
ポテンシャルが圧倒的で、比較的平凡な曲あっても、宮本浩次が歌えば、平凡な曲に迫力と起伏が出てくる。自動車教習所の周回コースであってもF1マシンが走れば「すげぇ」となるのでしょうが、そんな感じです。
4位 Badly Drawn Boy / Banana Skin Shoes
2009年の「Is There Nothing We Could Do?」から、ほぼ消息20年近く消息を聞いていなかったのですが、2020年にまさかの復活。
そしてニューアルバムは予想以上に良かった!
正直、良いとしてもかなり落ち着いてしまったサウンドなんだろうなと思っていたわけですが、冒頭の"Banana Skin Shoes"はU.N.K.L.E.のメンバーでもあったDJ Shadowを思わせる感じの尖った曲ですし、続く曲も2曲目の"Is This a Dream?"をはじめとして、メロディもよく、なおかつ若々しい。50歳近くになってこんなポップな曲をつくり、歌ってくるとは思いませんでした。
5位 Sufjan Stevens / The Ascension
Sufjan Stevens、5年ぶりのオリジナルフルアルバム。フルもフルで収録時間は1時間21分もあります。
前作の「Carrie & Lowell」は私的で静謐な感じのするアルバムでしたが、今回は「The Age of Adz」の路線ですね。過剰なまでにさまざまな要素を盛り込んでいます。
音としても「The Age of Adz」に近くて、エレクトロニカ的な要素を取り入れつつ、全体の色調はダークです。「Illinois」の頃にあった有機的な賑やかさは冷たい無機質さに変わっています。
ただし、メロディはやはりきれいで聴きどころは十分です。それでも長すぎて通勤時間の行き帰りでも聴き終わらないという…。
次点はMr.Children / SOUNDTRACKS。"Brand new planet"は抜群に好きなのですが、他の曲がそれほどピンとこない感じでしたね。