『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

 見るちょっと前に上映時間が163分という情報を知って「そんなに長いの?」と思いましたが、見終わってみれば全然飽きずに見れました。

 監督のキャリー・ジョージ・フクナガは初めて聞く名前でしたが、前作までのサム・メンデスのトーンをよく引き継いでいて、冒頭の氷の湖のシーンを含めて非常にきれいな画が撮れていたと思います。

 ストーリーとしても、その冒頭のサイコホラー的なきれいな雪と氷のシーンから、イタリアでの007シリーズならではの派手なカーチェイスキューバで登場するアナ・デ・アルマス演じるパロマのきれいさ、新しい007(ラシャーナ・リンチ演じる黒人女性)の登場など、飽きさせないです。

 

 前作の『スペクター』と同じく、最後の敵のあり方にはやや苦しいものがあるのですが(前作からつながっている話で、スペクターも出てくるので仕方がない)、最後の舞台が北方領土ど思しき島に設定されていることもあって、日本人であればその無理を含めて楽しめる部分はあるかと思います。

 

 ストーリーとしては、今まで常に孤独だったボンドにしがらみができるというのが本作の特徴で、ショーン・コネリーロジャー・ムーアに比べて、格段にシリアスなトーンで描かれているダニエル・クレイグのボンドの最後にふさわしい作品と言えるのかもしれません。

 

 この手のアクション大作を見たのは去年の『TENET テネット』以来で、そういった意味でも久々の「大作」で良かったですね。