『DUNE/デューン 砂の惑星』

 原作も未読ですし、デヴィッド・リンチの『デューン/砂の惑星』もリンチ好きのくせに見ていないのですが、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督ということもあり、ハズレはないだろうということで見てきました。

 

 映像はさすがドゥニ・ヴィルヌーヴで言うことはないです。

 砂漠の惑星アラキスの景色、そこで動く巨大なメカ、砂漠に潜むサンドワームの迫力、主人公が最初にいる惑星カラダンの風景、怪しげな敵であるハルコンネン家の面々など、すべてが決まっています。

 この手のSF映画だと、どこかでしょぼかったり無理があったりしてしらけるところがあるものですが、そういってものが全くなくて画作りとしては完璧です。

 

 あと、主人公のポールを演じたティモシー・シャラメもいいですね。『レディ・バード』で見たときから、びっくりするほどナルシスティックな存在感を放っていて、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』でもいい感じでしたが、本作では「選ばれた人間」である主人公の役にはまっています。

 

 惑星アラキスの砂漠のみでとれる「スパイス」と呼ばれる不思議で貴重な物質があり、その惑星の支配権が皇帝から主人公のポールの父であるレト・アトレイデス公爵に与えられます。このアラキスにはフレーメンと呼ばれる砂漠の民も住んでおり、主人公のポールはなぜか彼らの夢を見ます。

 それまで惑星アラキスを支配していた前任者であるハルコンネン家も、打倒アトレイデスと惑星アラキスの奪還を狙っており、ここに対立が生じます。

 一方、ポールの母のジェシカは他人を従わせる声を出せる不思議な能力を持つ女性のみで結成された秘密結社ベネ・ゲゼリットのメンバーでもあり、ポールにもその能力の一端を授けています。

 ここに謎めいている皇帝の意向なども絡んできて…という非常に複雑なストーリーとなっています。

 さらに、本作は2部構想の第1部であり、話は主人公のポールが大きな物語の第一歩を踏み出すところで終わっています。つまり、壮大な大河ドラマの序章といった感じなのです。

 

 ですから、ストーリーとしては不完全燃焼ではあるのですが、最初にも書いたようにドゥニ・ヴィルヌーヴのつくる画を見ていればそれで十分に満足といったところです。

 ただし、『ブレードランナー 2049』でも感じましたが、ドゥニ・ヴィルヌーヴの映画は上映時間も長いですし、その上映時間以上に長く感じます。別に退屈というわけではないんですが、メジャーなヒット作を生み出すには、もう少しテンポが必要な気もします。

 でも、とにかく大きな画面でこれだけの映像を楽しめれば、それで十分とも言えるでしょう。