宮本浩次 / 縦横無尽

 宮本浩次の2ndソロアルバム。「独歩。」のあろカバーアルバムの「ROMANCE」を出し、そして今作の「縦横無尽」となります。

 最初の印象としては、楽曲がバラエティに富んでいた「独歩。」に比べるとスタンダードなロック寄りで、そんなにちゃんと聴いているわけではないですけどエレファントカシマシに近い感じですかね。

 

 でも、やはり宮本浩次の歌唱力というのは際立っていて、単純に音程が自由自在に合わせられるだけではなく、声の太さも自由自在に変えられる。

 唯一のカバー曲である柏原芳恵の"春なのに"でも、出だしは女性的な細さを持った声で歌い出し、そしてサビの♪春なのに〜♪で太い声にいくという普通の歌手ではできないような歌い方をしている。

 つづく桜井和寿とのデュエット曲である"東京協奏曲"でも、やはり宮本浩次の声の太さは際立っていて存在感では勝っている。

 

 個人的にはその歌唱の可能性を広げた前作の楽曲、例えば、演歌っぽい"冬の花"とかが好きなので、ロック寄りの曲よりは歌謡曲っぽい"十六夜の月"(この曲はアレンジがすごく小林武史っぽい)とか、宮本浩次の緩急が聞いた歌い方が気持ちいい"rain -愛だけを信じて-"とか、最後の太い声の伸びが良いラストの"P.S. I love you"とかが、今回のアルバムの中では好みです。

 「独歩。」に引き続き圧倒的な名曲のようなものはないかもしれませんが、歌の上手さが引き起こす「聴かせる力」を感じさせるアルバムですね。

 


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