2022年の紅白歌合戦を振り返る

 あけましておめでとうございます。

 今年もやはりブログは紅白の振り返りから。今回の紅白において注目すべき点は、「結果発表→蛍の光」ではなく、「蛍の光→結果発表」というルーティンの変更が行われたことでしょう。

 それに伴い、結果発表→キャプテンへの優勝旗の授与→キャプテンの涙の一言、といったものも消滅していしまいました。トリ前に紅組と白組の歌手たちがトリを務める歌手へエールを送るというシーンもなく、もはや紅白歌合戦における「勝利」は、紅白の視聴率などと同等の視聴者の興味を引く「数字」のように扱われていたと思います。

 

 「歌合戦形式の消滅」については2018年の紅白を振り返った記事でも指摘していましたが、ついにMajiで消滅5秒前くらいになってきた感じです。

 プログラム的にも後半はスペシャルゲストの連続で、どちらに軍配を上げるべきか迷った人は多いと思います。自分も「氷川きよしが良かったから白じゃね?」と言ったら、奥さんに「氷川きよしスペシャルゲストだ」とたしなめられました。

 もはやNHKが「歌合戦」という競争の公平な管理者であることを放棄していたと思います。

 

 そして、氷川きよしについては本来ならば当然大トリで、石川さゆりMISIAという紅組連続登場を、”白雲の城”→”きよしのズンドコ節”または”歌は我が命”の2曲を歌って迎え撃って白組勝利で最後の花道を飾るくらいでも良かったですけど、氷川きよしが白組という枠から「限界突破」してしまったので、こういう形になったんでしょうね。

 YOSHIKIらがTHE LAST ROCKSTARSと名乗っていましたが、氷川きよしはまさにTHE LAST 演歌歌手だったのではないかと思います。

 

 司会は橋本環奈があまりにもそつなくこなしていたので、吉高由里子綾瀬はるかが懐かしい…。

 来年の紅白の司会は来年の大河の主演の吉高由里子を期待していいんですよね?

 

 以下、各歌手の短評。

 

SixTONESSixTONESはカッコイイ路線をいくのかと思ってましたけど、やっぱりジャニーズはこうなるんですね。

郷ひろみ→歌はともかく、スギちゃんやテツANDトモをたんなる風景として消費していくのが紅白の豪華さ。

Saucy Dog→声が万人ウケするクリープハイプという印象。

SEKAI NO OWARI→もうちょっと何かがあればほとんどの人が知っているヒット曲になったかも。でも、この演出でセカオワを紅組と認識できた人はいるのか?

三浦大知→曲紹介の黒島結菜の元気のなさは心配だったけど、歌は素晴らしい。メロディの入りから圧倒的なスケール感を出せる所がいい。

Aimer→うちの子どものお気に入りで、難しい曲をよく歌うよ…と思っているけど、それをきっかりと歌ってくる上手さ。

三山ひろし→多くの視聴者は右下のワイプのけん玉を凝視していたと思うのですが、そういえばず~まだんけはいつからいなくなった??

Vaundy→そんなによく知らなかったんですけど、歌手としてのスケール感もあって、なおかつなんでも歌えそうな人なんですね。人気も納得した。

back number→曲紹介で「なんでくるみちゃんがいないの?」と思いましたが、次が乃木坂だったんですね。プログラムの改善点。

工藤静香→いい歌を歌っているとは思いますけど、キムタクと結婚したり、娘をすかさず売り込んだりする出来の良さがやや歌手としての魅力を下げているような気もする。

King & Prince→低音が効いたサビとかはジャニーズの楽曲の中でもあんまりないかっこよさだったと思いますが、曲名が”ichiban”というのはもうちょっとどうにかならなかったのか…。

あいみょん→”君はロックを聴かない”のポップさが改めて印象付けられた。

加山雄三→若手の歌手の歌が非常に複雑で歌詞の言葉数も多い中で、このシンプルさは新鮮だった。昔は一家揃って嫌ってましたけど、声も出てたし良かった。

藤井風→去年は第2部をジャックした感じでしたけど、爽やかな印象だった前回から変態っぽい今回へ。いいんじゃないでしょうか。

篠原涼子→ずっと「with T.KOMUROは?」と思っていたので、おばあちゃん化したT.KOMUROが出てきて満足ですよ。

ゆず→1・2・3、ダァーッも「もう1回!」もどうでもいいんだけど、岩澤の声は平成の無形文化遺産

松任谷由実 with 荒井由実→応援に駆けつけたダボダボ青色ジャージのあいみょんとTシャツ姿の郷ひろみの絵面が面白すぎた。

安全地帯→石川さゆりなんかをみると、どうしても60代になると声量とか声のハリは落ちちゃうのかな?と思いますが、玉置浩二はまだバリバリですね。

MISIA福山雅治→歌手としての力量は段違いですけど、難しい曲を歌いこなすMISIAに対して、シンプルなメロディ、狭い音域、日本人の好きそうな叙情的な歌詞の”桜坂”で対抗するのは間違っていない。

 

 勝敗的には氷川きよしや安全地帯を白だと思っちゃえば、白組の勝ちだし、そういったスペシャルゲストを丁寧に除外すれば紅組の勝ちという感じですかね。

 男女が合戦する時代でもないのかもしれないけど、「紅組と白組の対決」という要素がなくなれば、「FNS歌謡祭まであと一歩」ということになりかねないので、個人的には「対決」を残してほしいですね。