ようやく見てきました。
「役者に演技をさせる」という点では李相日監督は今の現役の監督の中ではピカイチという感じですが、今回も役者の演技は素晴らしいです。
吉沢亮と横浜流星はともに期待以上の演技でしたし、吉沢亮の美形っぷりも際立ってました。渡辺謙も田中泯もさすがの存在感で、役者の演技で3時間の上映時間を見せますね。
一方、ストーリーとしては父を殺された極道の息子が歌舞伎の芸の道に一生を捧げるという「古さ」を感じさせる話ではありますし、上下巻の長編を映画化するにあたって、主人公を取り巻く女性の描写がおそらく端折られたのではないかということもあって(原作は未読)、女性については「芸の犠牲になった」という役割が目立つようになってしまっています。
ただし、歌舞伎というテーマを描く以上、ある程度話が「古く」なるのは当然と言えば当然で、「血」や「家」といった古い価値観がずっと残り続けている場所を描こうとする限り、「古さ」を感じさせるストーリーとなるのは必然かもしれません。
渡辺謙が子役たちに稽古をつけるシーンは、今の価値観からすると眉をひそめるものですが、あの虐待が美しい「形」を生み出しているのもまた事実であって、本作では歌舞伎の世界をそういうものだとして描いています。
そして、その歌舞伎のシーンの見せ方、使い方が上手い。
先程述べたように、かなりのボリュームの小説を圧縮して脚本化しているためにかなり端折られていると感じる部分が多いのですが、そのやや説明不足な感じをおぎなうのが歌舞伎のシーンで、美しいシーンとして観客を惹きつけるとともに、ストーリーの展開に説得力を与えるようなものとなっています。
また、同じ演目が演じられるシーンが有るのですが、これはあとから見比べたくなりますね。3時間の映画ですが、意外とこれ目当てのリピーターもいるのかもしれません。