ボブ・ディランをティモシー・シャラメが演じている映画。
この手のミュージシャンの映画は、まず音楽にハズレがなくて音楽を楽しめますし、今作ではティモシー・シャラメが相変わらずのカリスマ性を発揮している+実際に歌も歌っててそれも良いということで、まずは満足できる出来に仕上がっています。
ボブ・ディランはキャリアが長く、しかもまだ存命でキャリアが終わったわけではないので、トータルでその活動を描くことは不可能です。
そこで本作では、1961年にボブ・ディランがニューヨークに出てきて、その才能を見出され、一躍フォーク界のスターとなるが、次第に窮屈さを感じて、65年のニューポートのフォーク・フェスティバルでバンドサウンドを披露して、客からブーイングを受けるも新たな一歩を踏み出すというところまでを切り取って見せています。
自分は特にボブ・ディランのファンというわけではないので、この映画のストーリーがどれだけ事実を反映しているものなのかどうかはわからないですが、途中で周囲がビートルズを下に見るような発言をするなど、この時代のフォークとロックの関係や垣間見えて面白いですね。
また、65年のものはちょっと違ってきますが、63年のニューポートのフォーク・フェスティバルの「行儀の良さ」というのも、60年代後半のウッドストックのイメージなどからは遠く離れていて興味深いですね。
ただ、やはりこの映画の魅力はティモシー・シャラメなんだと思います。
ボブ・ディランの仕草なども研究したのでしょうが、とりあえず歩いたり、バイクに乗ったりするだけでも「絵になる」感じです。しかも、歌もすべて自分で歌っているとのことですが、この歌も魅力的で、カリスマ性のあるミュージシャンを見事に演じています。
あと、久々に見たエドワード・ノートンも良いです。
ボブ・ディランの「本質」のようなものを明らかにした映画とは言えないかもしれませんが、ボブ・ディラン自体が変化を続けてきたアーティストでもあり、現在のところ、この映画のように1つの断面を切り取るという作劇がいいのかもしれませんね。