政治
本書の出発点をなすのは、東ドイツの西ドイツへの適応ないし移行という当初の期待は、近年の展開に照らして幻影だったという所見である。〜「模倣の段階の終着点」にあって、東ドイツは消えてなくなるどころか、ますます見分けが可能である。(11p) 1990年…
日本の政治制度や政策についての本ですが、タイトルにあるように「数理とデータ」という角度から迫っている所に本書の特徴があります。 「数理とデータ」とあるように、データ分析だけではなく、ゲーム理論などの数理的な理論を使った分析がいくつかあるのも…
なんといってもトランプが代表例ですが、近年の政治では政治経験がほとんどない、あるいはまったくない人物が大統領などの指導者の地位につくケースが増えています。 また、議院内閣制の国においても、新興政党が勢力を伸ばして無視しがたい勢力になっている…
「21世紀の日本政治」とはなかなか大きなタイトルですが、そこは『日本の地方政府』(中公新書)で日本の地方自治に関して新書サイズで濃密に分析してみせた著者であり、期待通りの読み応えのある分析がなされています。 副題は「グローバル化とデジタル化の…
人々は政治に対してどのような関心を持ち、多くの情報をどのように判断して、どのように行動(投票)するのか? こうしたことは昔から研究されてきましたが、近年ではその手法も洗練され、さまざまな研究が行われています。また、Brexitやトランプ大統領の誕…
石油は政治学においても注目されている資源で、マイケル・L・ロス『石油の呪い』は石油の存在が民主化の進展や女性の政治参加を阻害し、内戦などが起こりやすいことを明らかにしました。 これに対して本書が注目するのが植民地の独立と石油の関係です。 ブル…
日本国憲法の制定過程については、「押し付けか否か」という議論がずっとあり、近年でも「9条幣原発案説」(9条を提案したのが幣原喜重郎だという説)をめぐり議論があり、笠原十九司が幣原発案説を主張しているものの、多くの研究者がこれを否定する状況と…
『比較のなかの韓国政治』著者の浅羽先生と編集部から御恵贈いただきました。どうもありがとうございます。に引き続き、編者の浅羽先生と有斐閣の編集部から御恵贈いただきました。どうもありがとうございます。 下にあげた本書の目次を最初から見ていくと、…
著者の浅羽先生と編集部から御恵贈いただきました。どうもありがとうございます。 本書の「あとがき」の日付は2024年10月21日となっていますが、まさかここまでタイムリーな本になるとは関係者も思わなかったのではないでしょうか。韓国政治は2024年12月3日…
2021年に行われた衆議院議員選挙、立憲民主党が共産党と選挙協力を行い自民党を追い詰めるのでは? という観測もありましたが、結果は自公の勝利に終わりました。「なぜ、野党は勝てないのか?」と思った人も多かったでしょう。 本書はそんな中で、改めて「…
1924年の加藤高明の護憲三派内閣以降、政友会と憲政会(→民政党)が交互に政権を担当する「憲政の常道」と言われる状況が出現しますが、なぜ、このような体制が要請されたのでしょうか? そして、この政権交代の枠組みを運営したのは誰なのでしょうか?(明…
出版社は飛鳥新社で400ページ超えの本にもかかわらず定価が2273円+税で、みすず書房とかの本を買い慣れている人には「???」という感じなのですが、決して怪しい本ではありませんし、35歳の若さでオックスフォード大学の正教授になったという著者が、現代…
著者は首都圏政令市で公務員として勤務しながら大学院の博士課程で学んでいる人物ですが、本書は自らの経験と調査を元に「女性管理職はなぜ少ないのか」「組織の中核はなぜ男性ばかりなのか」という問題にアプローチしたものになります。 男性と女性では配属…
東京大学出版会の「U.P.plus」シリーズの1冊。このシリーズは現在起こっている問題に対して多数の専門家が寄稿しているムック本のようなスタイルですが、現在進行系のガザ紛争を扱うには適したメディアだと思います。 目次と寄稿者は以下の通り。 序 10.7が…
著者の湊氏よりご恵贈いただきました。どうもありがとうございます。 近年、特に中国に対抗するためのパートナーとしてインドへの注目が高まっています。日米豪印の「クアッド」という枠組みがつくられ、そこではインドは民主主義や法の支配といった基本的理…
ちょっと変わったタイトルのように思えますが、まさに内容を表しているタイトルです。 第2次安倍政権がなぜ長期にわたって支持されたのかという問題について、その理由を探った本になります。 本書の出発点となているのは、谷口将紀『現代日本の代表制民主政…
明治憲法のはらんだ大きな問題点であり、日本を戦争の道へと導いたとされる「統帥権の独立」の問題。 タイトル通りに本書はこの問題を扱っているのですが、特徴は今まで注目されてきた陸軍の動きだけではなく海軍の動きも追っているところで、そこから「専門…
今まで著作の評判を聞いてきて、これはいつか読まねばと思いつつ読んでいなかった渡辺浩の小文集が筑摩選書という手に取りやすい形で出たので読んできました。 非常に鋭い切り口がいくつもあり面白く読める本ですが、核心的な部分に関しては「続きは別の本で…
『番号を創る権力』の羅芝賢と『市民を雇わない国家』の前田健太郎による政治学の教科書。普段は教科書的な本はあまり読まないのですが、2010年代の社会科学においても屈指の面白さの本を書いた2人の共著となれば、これは読みたくなりますね。 morningrain.h…
オックスフォード大学出版局のVery Short Introductionシリーズの1冊。ちょっと前に読み終わっていましたが、簡単にメモしておきたいと思います。 タイトル通り、「脱植民地」をテーマにした入門書ですが、本書は「脱植民地化」を広い視点で捉え直しています…
ヨーロッパの政治シーンにあって、日本の政治シーンではほぼ存在感がない政治勢力に「緑」があげられると思います。 その「緑」の中でも、特にドイツの緑の党は以前から存在感を持っており、現在のショルツ政権では与党の一角を担っています。 この緑の党の…
著者の西川先生よりご恵贈いただきました。どうもありがとうございます。 本書は研究者のためのライフハック術を教えてくれる本で、「本書が想定している読者はどういった方々かというと、それはずばり、若手研究者、そして研究者を志望するポスドク・院生・…
東京大学出版会のU.P.plusシリーズの1冊でムック形式と言ってもいいようなスタイルの本です。 このシリーズからは池内恵、宇山智彦、川島真、小泉悠、鈴木一人、鶴岡路人、森聡『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』が2022年に刊行されていますが、『ウクライナ…
よく「政治と宗教の話はタブー」と言われます。一方で、市民として政治に関心を持つことは重要だと言われ、「政治についてもっと話し合うべきだ」とも言われます。一体、われわれは政治の話をどう扱えばいいのでしょうか? そして、そもそも「「政治の話」と…
本書を「『21世紀の資本』がベストセラーになったピケティが、現代の格差の問題とそれに対する処方箋を示した本」という形で理解している人もいるかもしれません。 それは決して間違いではないのですが、本書は、そのために人類社会で普遍的に見られる聖職者…
副題は「死者はいかにして数値になったか」。 本書の序章の冒頭では、著者がボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争における死者を調べていて、20万人という数字と10万人という数字が出てきたというエピソードが紹介されています。 死者数というのは戦争の悲惨さを…
『ゲンロン0 観光客の哲学』の続編という位置づけで、第1部は『観光客の哲学』で提示された「家族」の問題を、本書で打ち出される「訂正可能性」という考えと繋げていく議論をしていきますが、第2部は『一般意志2.0』の続編ともいうべきもので、『一般意思2.…
サブタイトルは「高校生からの社会科」。このサブタイトルからは同じ有斐閣から出た『大人のための社会科』を思い出しますが、いくつか違っている点もあります。 morningrain.hatenablog.com まず、「大人のため」が「高校生から」となっていることからもわ…
「民主主義の危機」について書かれた本は数多くありますが、本書の特徴は民主主義のミニマリスト的定義、「平和的な政権交代の可能性があれば民主主義」という考えのもとで書かれている点です。 多くの論者が民主主義を理想し、「あれも足りない、これも足り…
貧困について、過去の状況を計量的に分析した本になりますが、本書の特徴は対象が日本の近代という点です。 貧困の歴史について欧米中心に計量的に分析した本としては、アンガス・ディートン『大脱出』などいくつか思いつきますが、近代日本を対象とした本は…