舞城王太郎『山ん中の獅見朋成雄』読了

 ようやく晴れて洗濯物もすぐ乾くような日になったけど、おかげで剣道は暑い。ただ、真の炎天下だった一昨年とかに比べればぜんぜんましか。

 舞城王太郎『山ん中の獅見朋成雄』を読了。舞城王太郎はここ最近の書き手の中では一番才能あると思うけど、正直この作品はちょっとイマイチ。
 福井の森を舞台に、獅見朋成雄という背中に鬣(たてがみ)のような毛をもった中学生を主人公にした話で、ある種のビルトゥングロマンスを狙っている作品なんだけど、この主人公というのがふつうの少年のようであってスーパーマンのようであって、いまいちはっきりとした人間として浮かび上がってこない。
 また、途中で一種のカニバリズムを経験することで、この少年は宮台真司のいうところの「脱社会的存在」になって人間的な道徳観のようなものが失われてしまうんだけど、そこからの少年の変化とかそういう部分の描き方も物足りない。
 ただ、書道の字を様々な活字の文体を使って表そうとしたりしている所は面白いですね。

山ん中の獅見朋成雄
舞城 王太郎
4061824678


晩ご飯はチンジャオロースと冷奴