宇多田ヒカル / BADモード

 人間には自分と似ている人間に共感すると同時に、自分とはまったく似ていない人間に感心するというか、畏敬の念を抱くことがあると思うのですが、自分にとって宇多田ヒカルは後者の代表例です。

 例えば、"誰にも言わない"の歌詞の次の部分。

一人で生きるより
永久(とわ)に傷つきたい
そう思えなきゃ楽しくないじゃん

 

 「傷つくなら別に家で一人でいればいいじゃん」と思ってしまうので、「永久(とわ)に傷つきたい」と言って、さらに「そう思えなきゃ楽しくないじゃん」とまで言い切る姿は、なんか素直にすごいなと思える。

 それこそ、"FOR YOU"の♪傷つけさせてよ 直してみせるよ♪のあたりから、宇多田ヒカルの強い姿勢というのはびっくりするくらいのものでしたが、あれから20年以上の月日が経つのに、そのあたりがぶれていないのはさすがですね。

 

 サウンド的には、前作や全前作に比べるとエレクトリックによった感じで、特に"One Last Kiss"や"Face My Fears"のように、宇多田ヒカルの声でグルーヴ感を出していくような曲が印象的です。

 以前は、宇多田ヒカルも豪華なゲストミュージシャンを呼んできてその上に乗っかるような形の曲作りをしてもいいんじゃないかと思った時期もありましたが、やはり、宇多田ヒカルのグルーヴの中心は自身の声ということなんでしょうね。

 

 ただし、今作は小袋成彬をプロデューサーに迎えたり、エレクトロミュージシャンのSkrillexスクリレックス)と共作をしたりと、閉じた印象はありません。

 宇多田ヒカルらしさと新しさが同居したいいアルバムだと思います。

 

 ちなみに下に貼った"Face My Fears"のLive ver.は非常にかっこいいので、これもボーナストラックで収録してほしかった。

 


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ちなみに自分は配信で買いましたけどCDは2月23日発売とのこと。