今年は「これ!」という1枚を見つけることができなかった感じですね。一応、そこそこいいアルバムはあったのですが抜けた1枚はなしです。
収録曲の良さならばBig Thiefなんですけど、やはり70分を超えるボリュームはアルバムとしてはどうなのかと。
もうアルバム単位で聴く時代ではないんでしょうけど、未だにサブスクをやっていない身としてはアルバム1枚聴いたときの気持ちよさを重視したいということで以下のような順位になりました。
1位 Fontaines D.C. / Skinty Fia
アイルランド・ダブリン出身のポスト・パンクバンドの3rdアルバム。この手のバンドはキャリアを積むにつれて勢いがなくなってくるのでは? とも思っていましたが、全然そんなことはないですね。
演奏もメロディもいいですし、アルバム全体の緩急もついている。特に9曲目の"I Love You"はとてもかっこよくていい曲だと思います。
2位 Big Thief / Dragon New Warm Mountain I Believe In You
最初にも書いたように収録されている曲の質ならこのアルバムが1番。やはり20年代前半のインディーシーンの中心はなんでしょう。
もとからメロディは冴えていますし、ボーカルのAdrianneの声もいいのですが、今作では更にサウンドが進化していて、フォークっぽい感じだけではなくさまざまな音が鳴らされています。
ただ、前回のように少しずらしたタイミングで2枚リリースしてくれたほうが個人的には良かったですね。
3位 羊文学 / our hope
とにかくアニメ「平家物語」のOPにもなった"光るとき"が良かった。
アルバム全体を通じても、1曲目の"hopi"とラストの"予感"のギターを中心に据えて、それを聴かせる構成はいいですし、曲調としてもバラエティに飛んでいると思います。日本のギターロックだと、ギターが良くてもボーカルが埋没してしまうことも多いですが、ボーカルの塩塚モエカにパワーがあっていいですね。
11曲目の"マヨイガ"は、ややアニメ映画のエンディングを飾るために(映画は未見ですが)、歌詞もアレンジもややそれっぽい感じに引っ張られた印象で、ここであとひと押しあったら完璧だった。
4位 宇多田ヒカル / BADモード
今までのアルバムと比べて「大好き」という曲はないのですが、全体を通してさすがのクオリティですね。
ここ2枚は、音楽的には比較的似たような感じでしたが、今作はエレクトリックな感じを取り入れていてサウンド的にも進化が感じられました。
相変わらず歌詞も効いていて、♪一人で生きるより/永久(とわ)に傷つきたい/そう思えなきゃ楽しくないじゃん♪とかすごいですよね。
5位 崎山蒼志 / Face To Time Case
メロディは前作にも増してよくて、"嘘じゃない"とか"風来"とかのメロディの良さは特筆すべきものがあると思うんですけど、個人的にちょっとアレンジが残念。
グルーヴ感こそが崎山蒼志の売りではないかと思うのですけど、今回はアレンジでストリングスを入れたりしたことでスケール感こそ出たものの、その分グルーヴ感は交代してしまったような…。相変わらず曲はいいんですが。
次点は、Yeah Yeah Yeahs / Cool It Down。忘れた頃の鮮やかな復活でした。