Syrup16g/darc

 8曲入り37分という短めの1枚ですがアルバム扱いのようなので、Syrup16gにとって9枚目のアルバムになると思います。
 「「COPY」を今、作ろう」という気持ちで制作されたということで、音は比較的ザラザラとしていて確かに初期のシロップを思い起こさせる感じです。
 そして、8曲に絞ったせいもあって、曲の粒も前作「Hurt」に比べて揃っていると思います。
 2曲目の"Deathparade"の激しいギターも、これだけ激しいのはシロップで久々に聴いた気もしますし、4曲目の"Father's Day"はいかにもシロップっぽい曲ですがドラムが少し凝ってます。
 歌詞的には5曲目の"Find the answer"の♪太陽の船 いずれ海原へ♪から♪吐きそうだ御免 In the end 泡沫へ♪の流れもいいですし、7曲目の"Murder you know"の♪観たいシーン集めた映画のような/物語なき毎日を続けてゆくなんて困難だ♪の部分はメロディ含めていいと思います。
 ラストの"Rookie Yankee"はなんだかヤケクソさを感じさせるような音と歌詞ですが、これもなかなかいいと思います。 


 そして、何といっても一番良いのは3曲目の"I'll be there"。

生き急いだような景色を
選んでみせたかったけど
君が側にいないのを
誤魔化してきただけなんだよ

 この部分のメロディと歌詞、そして五十嵐の声の絡まり合いは何とも絶品ですね。必殺技というべきものだと思います。
 今までのシロップはアルバムを通して聴くと、似た感じの曲があってやや曲数が多く感じるということが多かったのですが、8曲に絞った今回のアルバムはいいと思います。
 これが新規のファンにどれだけ響くかはわかりませんが、シロップが好きな人なら前作にピンとこなかった人でも気に入るんではないでしょうか。



darc
syrup16g
B01LXDU7P0