Damien Rice/My Favourite Faded Fantasy

 アイルランドのシンガーソングライターDamien Riceの3rdアルバム。なんと前作「9」からは8年ぶりということで活動しているかどうかも知らなかったんですけど、久々に来ました。
 しかもプロデューサーはリック・ルービンというメジャーどころ。以前のDamien Riceを知っている人ならば「何かが大きく変わってしまったのではないか?」と心配するかもしれません。


 けれども、歲月は過ぎても売れっ子プロデューサーがついてもDamien RiceDamien Rice
 さすがに40歳を過ぎたので声のハリとかは落ちたかもしれませんが、あの声とその声が持つスケール感はあのまま。
 リック・ルービンということで、音的にはやや派手になっているとは思いますが、それにDamien Riceの声が埋没することはありません。例えば、2曲目の"It Takes A Lot To Know A Man"は9分超えで、ストリングスなどがふんだんに使われている曲ですが、ここでもDamien Riceの声は負けていません。
 一方、3曲目の"The Greatest Bastard"や4曲目の"I Don't Want To Change You"のような抑えた曲では、Damien Riceの声が歌の世界をつくり上げていきます。


 ただ、例えば前作の"Elephant"やデビューアルバムの全編でみせたような「圧巻の声」というレベルにはやや足りない気もする。
 5曲目の"Colour Me In"も、Damien Riceのボーカルがかなりいい感じで引っ張る曲なのですが、一番来るところの爆発力がやや物足りない。突き抜ける感じがないですね。

 
 とは言っても、ラストの"Long Long Way"でも盛り上げてからゆっくりと落としていくところとかは良いですし、何よりも8年ぶりのアルバムということで捨て曲がない。曲のメロディとかは前作よりもいいんじゃないでしょうか。
 「Damien Riceにしては物足りない」部分があるものの、良いアルバムだと思いますし、やはりDamien Riceの声は沁みます。



My Favourite Faded Fantasy
Damien Rice
B00NBXF74M