角田光代訳『源氏物語3・4』

 夏に1巻と2巻を読んだ角田光代訳の源氏物語。引き続いて3巻と4巻を読んでみました。

 第3巻は「澪標」、「蓬生」、「関屋」、「絵合」、「松風」、「薄雲」、「朝顔」、「少女」、「玉鬘」。第4巻が「初音」、「胡蝶」、「蛍」、「常夏」、「篝火」、「野分」、「行幸」、「藤袴」、「真木柱」、「梅枝」、「藤裏葉」となっています。

 

 光源氏は須磨・明石から帰京し、源氏と藤壺の間の不義の子が新帝として即位します(冷泉帝)。

 源氏は朝廷においても出世を重ね太政大臣にまで登りつめ、六条院という豪勢な屋敷をつくります。

 相変わらず源氏は美男として描かれており、美的センスや芸事なども抜群なのですが、それでも源氏の「気持ち悪い」ところが描かれているのが特筆すべき点かと思います。

 

 源氏がかつて想いを寄せた夕顔の娘を引き取ります。玉鬘と呼ばれる彼女は筑紫から都に戻ってきて源氏の元に身を寄せるのですが、源氏は娘のようなこの玉鬘に惹かれ、言い寄ります。

 玉鬘はそれに戸惑い拒否するわけですが、源氏はしつこく迫ってきます。もはやグルーミングというようで正直なところ気持ち悪い感じです。

 完璧な源氏が見せるこのあたりの気持ち悪さ、紫式部は「イケメン無罪」の人ではなかったこともわかります。

 

 また、作者である紫式部の視点もちょくちょく挟まれるようになり、第1巻、第2巻に比べると、ぐっと批評性が増しているように思います。

 個人的には有名なエピソードが続く第1巻、第2巻よりも、この第3巻と第4巻、特に第4巻を面白く読みました。

 つづきを読むのは先のことになるかもしれませんが、この先も読みのも楽しみになりました。