Common11枚目のアルバム。ラッパーの中では理知的な印象を受けるCommonですが、今作も警察官による黒人の射殺事件などを受け、タイトルには「Black America Again」というストレートな言葉を持ってきていますが、アルバム全体から受ける印象は落ち着いたものです。
2008年の「Universal Mind Control」のようにダンサブルなアルバムを出したこともありますが、今回は言葉や生の楽器を使ったサウンドにこだわったアルバムになっています。
このアルバムの中心となる曲は、何といってもアルバムタイトルにもなっている"Black America Again"でしょう。なんとスティービー・ワンダーが参加しています。
非常に暗い雰囲気のピアノ（これもスティービー・ワンダーなのかな？）にCommonのラップがのり、後半にスティービー・ワンダーの♪We are rewriting the black American story♪というコーラスが入るこの曲は、理不尽な暴力によって殺された黒人への鎮魂歌であり、黒人の歴史を自分たちの手で書き換えていこうという決意を歌った曲になります。
大物ゲストを迎えた割には抑えた曲調ですが、良い曲ですね。
他の曲も、女性ボーカルをゲストに迎えた比較的落ち着いた曲調のものが多いです。11曲目の"A Bigger Picture Called Free"も、メジャーなHIPHOPのアルバムとしては滅多にないようなミニマルで抑えた曲になっています。
ダンサブルな感じの曲としては8曲目の"Pyramids"がありますが、サウンドとしてはやはり抑えめに仕上がっていると思います。
あとは、13曲目のJohn Legendが参加した"Rain"。"Black America Again"のスティービー・ワンダーの歌がほぼワンフレーズなのに対して、こちらはJohn Legendの歌がメインで、それにCommonのラップが付くという感じですね。John Legendの伸びやかなボーカルが聴けます。
個人的には、もう少し派手さもあってもとは思いましたが、今のアメリカの黒人社会の訴えを「怒り」だけではない形で表そうとした1枚です。
Black America Again
Common 
