教員免許更新制は日教組潰しなの?

 今日も今週の教育改革で気になった報道をいくつかあげますが、まずは核武装論でも注目を浴びている中川昭一政調会長の発言から。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/archive/news/2006/10/20061023ddm003070051000c.html

 ◇「美しい人」育成図る 尊敬される教員必要−−自民党政調会長中川昭一

 天然資源のない日本は人材が唯一最大の資源だ。20〜30年後をにらんだ国同士の比較の指標として、昨今の学力低下問題は無視できない。いじめや不登校の問題もある。一般社会でも信じられない残虐な事件も起きている。将来を背負う優秀な、安倍首相の言葉を借りれば「美しい人間」を育てる教育の再生が急務だ。「美しい国」とは、美しい人のつくる国だ。

 教育基本法の改正は、現行法にない新たな概念を盛り込むものだ。例えば幼児教育や生涯学習、環境教育であり、国際人の育成に欠かせない「我が国と郷土を愛する態度」も時代の要請だ。心の中は強制されないが、自然と態度に出るのは健全なことだ。こうした点を教育の柱として再構築する必要がある。

 基本法はルールに過ぎず、「美しい人」を作るため法律や学習指導要領、教科書を整備して、その上で最低限の義務教育は家庭や地域、最終的には国家が責任を持つ体制を作り上げる。極めて幅広い作業が「教育再生」に込められている。

 例えば、教員免許の更新制度が検討されている。日本教職員組合の一部活動家は、自分が納得できないことは何をしてもいい、断固拒否する、では教師の資格はない。集会の自由は憲法上の権利だが、デモで騒音をまき散らす教員に児童・生徒の尊敬を受ける資格はない。免許はく奪だろう。

 首相が言うように、政治家が過去の歴史認識を左右してはならない。私が教科書問題で訴えたのは、専門家の意見も二分している(従軍慰安婦などの)問題を、一方的に教科書に載せるのは不適当ということだ。ただ、教科書検定制度を見直す考えはない。

 民主党は首長に教育の権限を持たせるというが、教育は政治的に中立でなければならない。現場に任せ、昔の教職員組合のように学校運営に校長も関与できないゆがんだ形を目指しているなら問題だ。今でもPTAがあり、保護者が健全に学校運営に参加している。文部科学省も見直すべきは見直し、正しい行政を推進すればいい。

 いじめによる児童・生徒の自殺は悲惨だ。まさに心の問題で、いじめの結末として何が起こるか、それがいじめた側にどう跳ね返るかも教えなければいけない。【構成・竹島一登】

 
 これを見る限り、安倍首相と考えの近いと言われている中川政調会長が、教員免許更新制を一種の日教組対策として見ているのがわかる。
 さらに文部政務官もつとめた下村博文官房副長官の次の発言も。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061022-00000035-mai-pol

<教員免許>下村副長官、中教審案以上の「厳格化」論議する

 下村官房副長官は22日の報道番組で、中央教育審議会の7月の答申で導入が決まった教員免許の更新制度に関して「これでは改革できない」と語り、政府の教育再生会議で厳格化の議論を行う考えを示した。更新制度は教員免許の有効期限を10年間とし、それまでに最低30時間の講習を義務づけるもの。
毎日新聞) - 10月22日19時21分更新

 「これでは改革できない」ってのも、「これでは組合の教員を排除できない」ってことじゃないのかな?確かに有効期限10年で、30時間の講習だと劇的に教員が入れ替わるということはないですよね。
 
 さらにはいじめ問題を受けての義家弘介教育再生会議委員もさらっとながら組合批判。

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200610270196.html

 「学校、町教委、県教委のパイプが機能せず、連携ができていない」「教育行政の構造上の問題も考えなければならない」。25日の会合後、その足で筑前町を訪れた義家弘介教育再生会議委員は教委改革の必要性を強調した。義家氏は18日の初会合でも「教委と事務方、組合がつながって隠蔽(いんぺい)がはびこっている現実がある」と指摘した。教委で問題が解決できないなら、政府が介入せざるを得ないとの考えだ。

 まあ、こんな形で日教組解体のための教員免許更新制が議論されるのかな?と思うんだけど、もはや日教組の力ってのはそんなにすごいものではないんでは?
 確かに僕の通っていた小学校はかなり組合の強い学校で今思い起こせばいろいろあったけど、次のデータを見れば、ほっておいても日教組の影響力はおちていくんじゃないかな?

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/16/12/04121002.htm

  日教組の組織率の推移
昭和33年 86.3% 平成3年 35.2%
昭和40年 63.3% 平成10年 32.3%
昭和50年 55.9% 平成11年 32.1%
昭和60年 49.5% 平成12年 31.8%
平成元年 46.7% 平成13年 31.5%
(平成元年末 日教組分裂) 平成14年 31.0%
平成2年3月 36.9% 平成15年 30.4%
平成2年 35.7% 平成16年 29.9%


日教組への新採加入率の推移
昭和35年 78.0% 平成10年 18.9%
昭和40年 55.2% 平成11年 19.8%
昭和50年 53.1% 平成12年 18.4%
昭和60年 30.9% 平成13年 19.8%
平成元年   20.2% 平成14年 20.9%
平成2年 19.6% 平成15年 19.5%
平成3年 20.0% 平成16年 18.9%

 といわけで、そんなにがんばって教員免許更新制にしなくても…。
 それと一番の疑問だけど、もし大量に免許の更新を認められない教員が出た場合、その人たちはどうなるの?高校教師だったら都道府県の事務職とかで面倒見るの?それとも免許の失効を条件に公務員身分からの解雇は可能なの?
 個人的にはこの教員免許更新制は、結局のところ教員研修を受け入れるであろう学制不足に苦しむ大学の教育学部の救済事業以外の効果はないと思うんですけどね。


晩ご飯は麻婆豆腐ときゅうり