池田知加『人生相談「ニッポン人の悩み」』読了

 人生相談をネタにした社会学の新書、池田知加『人生相談「ニッポン人の悩み」』を読了。これはなかなか面白い。人生相談のおもしろさというのは僕も常々注目していたところで、読売新聞で一番好きなのは人生相談ですし、一時期は読売新聞のネットに載っている人生相談の記事の中の面白いのを保存したりもしてました。
 特に目新しい社会学的な知見があるわけではないのですが、取り上げている人生相談そのものの内容と、回答者の回答が何よりも面白いです。例えば、夫の家庭内暴力に対して、「から手とか柔道を習いましょう」と答える60年代の回答者(小山いと子)とか、女関係の派手な男との交際を相談され、「卑劣で、自分勝手で、不道徳で、軽薄な男の一語に尽きます」と、知りもしないのに断定してしまう同じく60年代の回答者(戸川エマ)など、50・60年代の回答者のすごい断定ぶりと、現在のほとんどすべてを「それはあなたが決めること」と答える回答者との差異。この辺は時代の変化というのをイヤというほど感じさせる材料だと思います。
 戦後における社会の変化を改めて点検してみたいという人にもオススメな本ですし、何より人生相談を読むのが好きな人にはかなり面白い本だと思います。
 池田知加『人生相談「ニッポン人の悩み」』

晩ご飯は焼肉とレタス