『バッド・エデュケーション』

 今日は映画の日ということで、『バッド・エデュケーション』見てきた。監督はペドロ・アルモドバル。『トーク・トゥ・ハー』は、まあすごい映画であることは認めるが、監督の考えとかにはまったく共感できないって感じだったんだけど、
http://www.d4.dion.ne.jp/~yamayu/20032kansou.htmlの8月29日の欄参照)
今回はそれほどすごさは感じないけど、話的には素直?にでもないけど納得できる。ヒッチコックばりのオープニングから始まるこの映画は(オープニングに関してはid:morningrain:20050424でとりあげた『ドッペルゲンガー』みたい)、基本的にはミステリー。過去の子どもへの性的虐待のトラウマが絡んだストーリー展開は、最近のアメリカ映画でもありがちなもの。ただ、この映画は「トラウマ→人生の歪み」のような単純な因果関係に力点は置かれてなくて、別にトラウマがあろうとなかろうと登場人物はやや変態的。寄宿学校の親友だったエンリケとイグナシオ、イグナシオは神父に性的虐待を受け…って話なんだけど、まともな人生を歩んだはずのエンリケもゲイでけっこう変な人間。もちろんイグナシオも歪んでしまっているんだけど、いわゆる「告発もの」とはずいぶん趣が異なる。
 エンリケとイグナシオ(アンヘル)を演じる役者は非常によい。ガエル・ガルシア・ベルナルの女装もはまっていて、好きな人は見る価値あり(逆に幻滅するかな?)。さらに『トーク・トゥ・ハー』のベニグノがまたちょっとキモイ感じの役で出てる。
 マザコン万歳のペドロ・アルモドバルが、映画から女性をほとんど閉め出したことで、『オール・アバウト・マイ・マザー』とか『トーク・トゥ・ハー』のような深い感動みたいのはないと思うけど(個人的には上記の二作に素直に感動できなかったクチですが)、ふつうに見て楽しめると思う(ホモシーンがダメな人はのぞく)。相変わらず、映像と音楽の使い方は素晴らしいですしね。