『ホテル・ルワンダ』

 今日は映画の日ということで渋谷のシアターN渋谷で『ホテル・ルワンダ』見た。シアターN渋谷って旧ユーロスペースのことで、中身はだいたいそのまんま。で、ずいぶん小さいけど大丈夫かって思ったら,案の定立ち見。夜にRoyksoppのライブが控えていたんで、仕方なく立ち見で見ました。
 ルワンダの虐殺事件にし、フツ族による虐殺からツチ族の人々をホテルにかくまって守った支配人ポール・ルセサバギナを描いたこの映画は、「アフリカ版『シンドラーのリスト』」というキャッチフレーズがまさにあてはまるものになっている。ただ、『シンドラーのリスト』のシンドラーがいまいち動機不明の謎めいた人物だったのに比べると、こちらのポールは家族への愛、そして揺れ動きながらも捨てられないホテルマンとしての使命感というはっきりとした行動原理に基づいて行動する人物で、また、執拗にナチスの残酷を描く『シンドラー』に比べると,残酷な場面を抑えて、ポールの行動に焦点を当てている。
 映画としてはよくできているけど、あくまでもオーソドックスによくできていて、「すごい映画」とまでは思えない。でも、なんといってもルワンダの虐殺事件が映画で描かれたということは意味があると思う。ユダヤ人の虐殺を描いた映画は数多くあり、『戦場のピアニスト』のように優れた作品がいまだにつくられているけど,そんな中でルワンダの虐殺は国際社会から無視され続け、放置され続けたという欺瞞を改めて思い起こさせてくれる。
 このルワンダ虐殺に関してはNHKがけっこうがんばっていて、虐殺をあおったラジオを取り上げたNHKスペシャルとか、NHKスペシャル「世紀を越えて 国連・忘れられた戦場」とかいい番組があるんだけど(特に後者はここ10年ほどのNHKのドキュメンタリーで一番いいと思う)、この映画によってルワンダ虐殺の事実が多くの人に知られてほしいものです。