「特別展 ボストン美術館 日本美術の至宝」(東京国立博物館)

 混んでるだろうな〜と思って朝の9時半過ぎに行きましたが、やっぱり混んでた!
 ただ、昼過ぎに出てきた時には入り口に結構な列ができていて30分待ちだったので、多少は良かったのかも。
 中身はさすがのコレクションで、「どうしてこれが海外にあるの?」というのも多数。東大寺にあったという「法華堂根本曼荼羅図」なんかはまさにそう。と、同時に明治に時点で曾我蕭白に目をつけて大量に集めているところとか、見る目もあったんだなと思います。
 

 今回、特に印象に残ったのは絵巻物と江戸時代の絵画。
 江戸時代の絵画に関してはマイブームといっていいくらい最近好きなのですが、絵巻物に関しては改めてその質の高さに驚きました。
 展示されている絵巻物は「吉備大臣入唐絵巻」と「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」。
 「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」はその武士たちの描き分けといい、夜討ちされた屋敷の混乱ぶりと立ち上る炎といい、とにかく描写が素晴らしい。特に炎の表現は上手いですね。ちなみに現在、「平治物語絵巻 六波羅行幸巻」も国立博物館の本館で見れます。
 一方、「吉備大臣入唐絵巻」は絵も話もユーモラス。
 人物の表情も生き生きしていますし、中国の皇帝の与える試練をカンニングやズルで切り抜ける吉備大臣がせこいといえばせこい。囲碁の勝負で碁石を飲み込んで勝って、下剤を飲ませて出させようとした中国側に対して超能力を使って便意を我慢するって…。超能力の使いかたが間違っている気がする。


 江戸時代の絵画もいろいろいいのがあったけど、まずあげたいのが尾形光琳の「松島図屏風」。
 大胆に図案化された波に、新印象派も驚くような大胆な島の描き方。水平線も半分設定されているようで、もう半分では完全に無視。18世紀前半にこれだけの絵が誕生したというのは驚きです。
 この絵に関しては俵屋宗達の「松島図屏風」を参考にして描かれているんですけど、俵屋宗達の「松島図屏風」も今はアメリカ。しかも所蔵しているフリーア美術館のコレクションをつくったフリーアは、追贈する際の条件として、フリーア美術館以外での作品の展示を禁止しているので日本に来る可能性がないという残念な状況なんですよね。


 他にも長谷川等伯の「竜虎図」はさすがの上手さですし、曽我二直庵の「鷲鳥図屏風」も独特の迫力があった面白い。伊藤若冲の「鸚鵡図」もその細かい描写と鸚鵡の止まっている手すり(?)の色使いが印象的。
 そして曾我蕭白は初めてまとまった数の作品を見ましたけど、評判通り個性的。ややバタ臭い面もあるんですけど、そのバタ臭さがユーモアとして活きていますし、「雲龍図」や「風仙図屏風」の迫力はさすが。「鷹図」なんかも現実のたかとは思えないほどの巨大な足を持っていて、リアルさはともかく大迫力。「朝比奈首曳図屏風」、「虎渓三笑図屏風」は描かれている表情が何とも言えないです。


 というわけで充実の展示でしたが、絵巻物を展示の後半に移してもうちょっと流れをよくしたほうがいいんじゃないか?とも思いました。