『空気人形』

 予告編からぺ・ドゥナのかわいさが炸裂していた映画ですが、本編はさらに魅力全開。ぺ・ドゥナのPVとしても成立しているような映画です。
 ポスターもメイド服もかわいいですが、それ以上に初めて普通の服を試着した時のかわいさったらない。
 ダッチワイフが心を持って行動しはじめるというファンタジー的な設定の映画ですが、その設定が受け入れられるのもぺ・ドゥナの魅力と演技力があってこそ。


 ただ、映画としてみると問題点がないでもない。
 まず、マンガの原作にあるだろうキャラクターを何人か登場させ群像劇的な側面も持たせているのですが、それぞれの描写が少なすぎてあんまりそれが生きていない。
 特に卵かけご飯のおじさんとか、過食症の女性なんかはあんまり意味がなかったと思います。
 そして、ラストの展開。
 マンガなら「シュール」とか思いそうな展開も、実写でやるとけっこうグロく感じてしまう。
 おそらくマンガのラスト通りなのでしょうけど、もうちょっとファンタジーっぽく終らせてもよかったような気がします。是枝裕和は実際、『誰も知らない』では、陰惨な事件をそれほど陰惨に見せずに撮っているわけですし、もう少しあっさりとした終り方でもよかったでしょう。


 ちなみにARATAは少し老けましたね。同い年ですけど…。


 追記(10/4)
 てっきりあのラストはマンガの原作通りかと思っていましたが、原作にああいうグロいシーンはないんですね。それだとすると、是枝裕和がなんであんなシーンを入れたのかますます謎。観客をびっくりさせる以外、特に意味がないような気がするんですが…。