イアン・ワトスン『エンベディング』読了

 国書刊行会未来の文学シリーズ第二弾のイアン・ワトスン『エンベディング』を読み終わる。全体的には、解説で山形浩生が言っているようにややアイディア先行でそれをまとめ切れていないところもあるんだけど、やっぱりアイディアがいいだけに面白く読める。
 言語と世界認識に関する物語で、特殊な埋め込み言語を子供達に教え込んでいる研究者、アマゾンの奥地でドラッグのトランス状態の中で生み出される特殊な言語、そして新しい世界認識を得るために言語を採集しに地球へとやってきた宇宙人、この3つのエピソードが絡まりながらストーリーは進んでいきます。この中の一番目の話をもっと説得力を持って展開できていたら”傑作”になったんでしょうけど、それがいまいちよく書けてない。また、比較的丁寧にストーリーのすすむ前半に比べると、後半は明らかに急ぎすぎ。異星人も最初は魅力的なんだけど、だんだんどうでもよくなって来ちゃう。ただ、最初に書いたようにアイディアの良さで引っ張る力はかなりある。読んだあとにちょっと物足りなさも残るけど、読んでいるときはけっこう面白かったです。
イアン・ワトスン『エンベディング』

晩ご飯はおでん