『殺人の追憶』

 ビデオで『殺人の追憶』を見た。韓国で実際に1980年代後半に起きた未解決の連続殺人を題材にした映画なんだけど、これはけっこう面白い。前半はややコミカル。地元の刑事とソウルから来たエリート刑事というありがちな組み合わせながら、地元の刑事が人間的にできていてエリート刑事の頭でっかちな捜査をたしなめる、みたいなありがちな展開ではなく、地元の刑事はけっこうバカっぽく、ほとんど無能。猟奇的な連続殺人事件を扱いながら、それらしくない感じで話は進みます。ただ、それでいながら後半はずしりとシリアスに見せる。この辺は韓国にいい俳優がそろっているからこそできる展開。この映画の二人の刑事もなかなかよいです。
 あと、この映画の興味深い点は、80年代の韓国の情景というのがわかる点。88年にソウルオリンピックがあって、その感覚だと韓国ももうそのころには「先進国の仲間入り」、という感じだったんだけど、この映画で描かれる韓国の80年代は、もっと昔のような感じ。薄暗い警察署と無茶苦茶な取り調べ、訓練のための空襲警報、大統領の出迎えのために動員され村人。日本だと60年代とかを思い出すようなイメージです。こうした韓国の”時代感覚”みたいなものを感じられるのもこの映画のいい点。

晩ご飯はおでん