安倍首相と小泉首相の人気の差は?

 昨日の朝日新聞に安倍首相が若者にウケてないって記事が出ている。
http://www.asahi.com/politics/update/1125/002.html

安倍政権に隠れた弱点 若者層、改憲より年金に関心
2006年11月25日12時22分

 衆院補選と知事選を3勝1敗で切り抜け、順調な滑り出しにみえる安倍政権だが、隠れた弱点がある。昨秋の郵政選挙で小泉圧勝の原動力となった20〜30代の若者層の離反がそれだ。自民党の広報戦略チームもその層を「プリクラ世代」などと名付けてひそかにリサーチを進めるが、もう一つの壁にぶちあたった。長期不況の就職難でニートやフリーターが多いこの「失われた世代」の関心は「改憲や教育改革より年金や景気」だという。つまり、政権が進める政策の方向性と微妙にずれているのだ。

 (中略)

  ――教育改革と経済成長路線を二枚看板にしつつある安倍政権のアジェンダ(政策目標)設定が、こと若者層対策ではミスマッチになりかねないのだ。チームのメンバーの一人は言う。

 「メッセージが弱い首相のあいまい路線、やらせ質問や教育問題での後手の対応、そして復党問題。若者層を離反させることばかりだ。企業寄りの成長戦略では若者層の支持は期待できない」

 その不安は19日の沖縄知事選で勝った後も消えない。チームは年明けから本格化する参院選マニフェストづくりにも参画する。世論調査と民間企業のマーケティング手法を駆使して世代や性別ごとに政策の感応度を測り、いわば「若者に売れる商品」たる政策を吟味するという。

 格差是正を争点化しようとする民主党も若者層に視線を注ぐ。松本剛明政調会長は22日の記者会見で「社会保障に対する信頼の回復は、高齢者に限らず、実質的に年金を負担する若い人にとっても大きな問題。非正規雇用も大きなテーマになっていく」。若者層の獲得合戦が触媒となって2大政党の政策論争に影響が出てくるかもしれない。

 という感じの記事で、まあ安倍首相への若者の支持が落ちてきているというのはその通りで、優勢反対派の復党問題が響いているというのもその通りでしょうが、この記事のタイトルの通り年金問題に力を入れれば若者の支持が集まるかというと疑問。
 年金というのは誰もがかかわることでみんなの注目も高いですが、今の状況で若者大幅な支持を受ける提案というのは年長世代への呪詛の書とも言える城繁幸の『若者はなぜ3年で辞めるのか?』で取り上げられている

 それは(すでに受給している世代も含めた)年金支給額の即日大幅カットだ。
 それにより、「今後どの世代も公平に受け取る額が減る」ことになる。なによりねずみ講のように、あとからの加入者が先人たちに食い物にされることもない。(122p)

というようなもので、とてもじゃないけど国民的な合意は得られないでしょう。
 また、企業より姿勢というのも安倍政権が批判される理由の一つですが、これに関しては小泉首相もけっこう大企業よりの規制緩和などの政策を行ったはず。
 ところが小泉首相の場合、安倍首相ほど企業よりに見られていなかった気がします。なぜかというと、小泉首相トヨタ奥田会長をはじめとする経済界のお歴々が心底嫌がっていた靖国参拝をし続けたという面があると思います。
 経済政策の面では財界の要望を大きく取り入れながらも、同時に財界が嫌がることもやり通したということが、小泉首相の若者人気を支えた一面でしょう。
 そういったことを考えると、安倍首相も何か財界の嫌がることをすべきです。これはないも難しいことではなくて、サービス残業への懲罰的な罰金とか最低賃金の引き上げとかを法人税の減税とリンクさせて進めたりすればいいわけで、ほぼ解決不可能な年金問題などに足を踏み入れなくてもいろいろと手はあると思います。
 
若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
城 繁幸
4334033709


晩ご飯はおでん