Loney, Dear/Dear John

 先日、「2008年ベストアルバムの記事」で00年代の才能はDavid SitekとKanye Westだと書きましたが、訂正。このLoney,Dearの中心人物Emil Svanängenも追加。
 2006年のアルバムSologneでその独特の声と曲調に惹かれ、2007年のLoney,Noirではその曲構成の才能に舌を巻き、それぞれ2006年のベストアルバム第2位、2007年のベストアルバム第1位に推して、その才能を買いまくってきましたが、それは間違いじゃなかった!
 今作も間違いなく今年のベスト1候補になるであろう傑作アルバムです。


 このLoney,Dearの音楽を説明するのは難しいのですが、「音大の作曲学科を出たような作曲能力を持ったやつが、ラテン音楽っぽいリズム感なんかも吸収しつつ、トム・ヨークっぽいファルセットで歌う」という感じ。
 そして、今作は全2作とは違い全体的何ダークな感じで、いわゆる「レディオヘッド化」したような作品。エモ・バンドの「レディオヘッド化」というと、死亡フラグであったりするんですが、これは成功している、というかある部分ではついにレディオヘッドを乗り越えている。
 エレクトロニカも導入しつつ楽器の使い方が抜群で、低音のストリングスやホーンはゾクゾク来るほど。5曲目の"Under A Silent Sea"なんかは、Massive Attackとかそのあたりも思い出すけど、ストリングスとティンパニーを使いつつ後半でエレクトロニカっぽくなる展開は本当にスリリング。とにかく楽器の使い方は見事という他ありません。
 一方で、9曲目の"Harm"なんかはほぼピアノの弾き語り。そういった曲も魅力的な声で見事に歌い上げます。
 10曲目の"Violent"のドラム、ティンパニー、ベースラインの絡みなんかもいいですね。
 とにかく、このLoney,Dearの存在は唯一無二のもの。今まで聞いたことのなかった音の世界が広がっています。


 試聴はこちら↓
 http://www.myspace.com/loneydear


Dear John
Loney Dear
B001N7LM3I