『サンシャイン・クリーニング』

 小品ながらの変人家族の痛快なストーリーを描いてアカデミー賞脚本賞などを獲得した『リトル・ミス・サンシャイン』。そのプロデューサーチームが手がけたのが、この『サンシャイン・クリーニング』。主演は『魔法にかけられて』で注目を集めたエイミー・アダムスで、勢いにのったチームによる作品と言えます。
 ところが、この作品は『リトル・ミス・サンシャイン』よりも地味で、苦味のある作品。ヤフーの映画紹介で「誰もが観た後少しだけ笑顔になれる元気印の感動作」ってあるけど、そういうもんでもないんじゃないかな?


 エイミー・アダムス演じるローズはシングルマザー。元々は高校のチアリーダーの花形ながら今はハウスキーパーという、いわゆる「負け組」。かって自分よりも目立たなかった友人たちが豊かな家庭を築いている一方で、ダメな父とダメな妹と問題行動を起こす息子を抱えています。
 そんなローズは、ギャラがいいという理由で事件や事故、自殺などの現場をきれいにする特殊クリーニングの仕事を妹とともにはじめます。死というものに近いその仕事はあくまでもユーモラスに描かれますが、時にシリアス。こうした仕事の中でローズや妹の過去も徐々に明らかになっていきます。
 そんなやや重くなりがちのストーリーで効いているのが、インチキ臭いじいちゃん。『リトル・ミス・サンシャイン』でもじいさんが効いていましたが、今回の映画もこのじいちゃんの存在が面白みを与えています。また、子役も印象的。
 そんなこの映画のラストは『リトル・ミス・サンシャイン』の大団円とはちょっぴり違って、変化と希望が混じり合わさったような終り方。
 『リトル・ミス・サンシャイン』のようなインパクトや爽快さはないかもしれませんが、エイミー・アダムスはすっごく魅力的ですし、なかなかいい映画だと思います。