『アメリカン・ハッスル』

 映画の日なんでさっそく見てきました。
 Yahoo!映画に載っているあらすじはこんな感じ。

 詐欺師アーヴィン(クリスチャン・ベイル)と、その相棒で愛人のシドニーエイミー・アダムス)。彼らはFBI捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)に逮捕されるが、無罪放免を条件におとり捜査への協力を持ち掛けられる。それは、架空のアラブ人富豪をダシに、カジノ利権に群がる政治家やマフィアを一網打尽にするというもの。アーヴィンとシドニーは、標的のカーマイン市長(ジェレミー・レナー)に近づくが、二人の仲を嫉妬(しっと)するアーヴィンの妻ロザリン(ジェニファー・ローレンス)がおとり捜査の邪魔をする。


 「ハッスル」というのは、英語の俗語で「詐欺」とかそういう意味もあるらしく、騙し、騙されの映画です。それをクリスチャン・ベイルを筆頭にした演技派の面々が演じるというのがこの映画の売りでしょう。また、いかにも映画のために作られたような話ですが、実際に1970年代後半に起こったアブスキャム事件という実際の事件をもとにしており、風俗や音楽などもこだわって作りこんであります。
 映画の冒頭は、クリスチャン・ベイルがハゲた頭にかつらをセットしているところから始まるのですが、そこからいろいろニヤリとさせられるシーンがてんこ盛りです。
 「騙す」には、演技をする必要があるわけですが、「デブでハゲ」という過去の出演作『マニシスト』とは真逆の役に挑んだクリスチャン・ベイルを筆頭に、各キャストがそれぞれ演技を尽くしている感じですね。
 

 特に見事なのが、主人公の奥さんロザリンを演じるジェニファー・ローレンス
 この奥さんというのは精神的に不安定で、電子レンジに金属を入れて一瞬にダメにしてしまったり、いわゆる「社会不適合者」的な人物なのですが、一対一の関係となるとめっぽう強い。泣きついたり、脅迫したり、強気に出たりと、とにかく相手に言うことを聞かせます。エイミー・アダムス演じるシドニーもキレる女性なのですが、そのシドニーも御せない存在です。
 症例的にはロザリンは「境界例」ってことになるんだと思いますが、「境界例」的な人物が、ある意味でここまで爽快に描かれている映画もないような気がします。

 
 ただ、コネタ的なものが多いのと、詐欺の話とアーヴィン・シドニー・ロザリンさらにはアーヴィン、リッチー、シドニーの2つの三角関係を詰め込んだことで、やや長いし、最後のスカッとした感じが損なわれているようにも思えます。
 ゴールデングローブ賞を獲ったそうですが、アカデミー賞はどうでしょうね?個人的には映画ファンに受けるのはわかりますが、アカデミー賞の作品賞となると少し足りないようにも感じるのですが。