前作「Rising Down」はあんまり好きではなかったんですが、これはけっこういいのではないでしょうか。
前作は生音である必然性があんまり感じられなくて、いわゆるふつうのHIPHOPアルバムに聴こえましたが、今作ではThe Rootsならでは演奏というのが随所で聴けます。また、最近影を潜めていたJazzっぽさも戻ってきている感じなので昔からのファンにもいいかもしれません。
The Rootsはアメリカの老舗ヴァラエティー番組「Late Night With Jimmy Fallon」の専属バンドに抜擢されたらしく、そんなこともあるせいかゲストも多彩で、今まで以上にいろいろなタイプの音楽を聴かせてくれています。
ただ、いろいろなタイプの曲を聴かせているぶん、1曲1曲のパンチ力はやや落ちる気もします。アルバムのタイトルにもなっているシングル"How I Got Over"もいい曲ですけど、ちょっと印象に残りにくい曲かも知れません。
それでも女性ヴォーカルのPatty Crashをフィーチャーした"The Day"や、Joanna Newsomの曲をサンプリングした"Right On"なんかは女性ヴォーカルの浮遊感とThe Rootsの演奏が絶妙に融合しています。
アルバムトータルで42分程度という短さもあって、繰り返し飽きずに聴けるアルバムだと思います。
How I Got Over
Roots