六本木の国立新美術館で見てきました。混んでて10分待ち、中入ってからもやっぱり混んでましたね。
ただ、やはりビッグネームの力のある作品が集結していてさすがのボリューム。混んでたこともあった全部見るのに3時間近くかかりました。
展示はモネを中心とする印象派から始まるわけですが、この前のボストン美術館展でもすごいと思ったけど、やはりモネの絵は印象派の中でも、印象派のパターンを越えた凄みがある。
逆に、つづくスーラやシニャックといった新印象派はパターンにおさまっている感じであまり面白みがない。完全に対象がスタイルに従属している感じで緊張感に欠ける気がします。
それに対して、そのあと展示されているセザンヌは決して好きな画家というわけではないんですが、独特の緊張感がある。
セザンヌの教えを受け継いだ人たちの絵は、人によってはどこかしらパターン化されているような気もするのですが、セザンヌの絵にはそのパターンを追求する中での緊張感のようなものを感じました。特に「たまねぎのある静物」は素晴らしかったですね。
で、ロートレックを挟んでゴッホとゴーギャン。
ゴーギャンは今までカタログなどで見ていてどこかしら平板な印象があったのですが、実物を見ると意外に質感がある。「黄色い積みわら」の積みわらや「タヒチの女たち」の女性の腕などは、非常によくて、ゴーギャンに対する認識を改めさせられました。
ゴッホは近くで見た時の強烈なタッチと遠くで見た時のクリアーな綺麗さのギャップにはびっくり。
「馬車、アルル郊外のロマのキャンプ」の遠目で見た時の鮮やかさは格別ですし、「自画像」の近くで見た時の不気味ささえ感じるタッチと、遠目で見た時の鮮やかさの対比はすごい!「ウジェーヌ・ボック」も宇宙的(?)な背景と肖像が奇妙にマッチしてましたし、「星降る夜」は星の大胆な描き方が素晴らしい。かなりインパクトのあるラインナップでした。
それ以降、ナビ派とかはあんま興味持てず、アンリ・ルソーも個人的にはまあ好きでも嫌いでもない感じ。
そんな中では、ポン=タヴェン派のエミール・ベルナールの「水浴の女たちと赤い雌牛」、「日傘を持つブルターニュの女たち」が印象に残りました。特に「日傘を持つブルターニュの女たち」は心霊絵画?とも言えるような奇妙な絵で、一人だけ幽霊が混じっているような色遣いなんですよね。
というわけで全体的に楽しめましたけど、混雑している時はその原因の一つである音声ガイドを止めたらいいんじゃないかって思った。