Sigur Rós/Valtari

 「( )」のあと、「Takk...」、「Med Sud I Eyrum Vid Spilum Endalaust」と、よりポップさを強めてきたSigur Rós。特に「Med Sud I Eyrum Vid Spilum Endalaust」ではその傾向が目立ちましたし、Jónsiのソロアルバム「Go」では完全に祝祭的ムードに満ちたカラフルなポップソングになっていました。
 それに比べると、このニューアルバムの「Valtari」は、以前のSigur Rósの姿に戻った感じ。
 派手なリズムや必要以上の音の厚みのようなものはなく、静謐で独特な世界観に立ち返っている印象です。インストの曲も復活してます。もちろん、3曲目の"Varúð"の盛り上がりなんかは、「Takk...」あたりの曲を思い出しますし、たんなる原点回帰というわけでもありません。
 ただ、Jónsiがポップな部分をソロアルバムで吐き出してしまったぶん、それ以外のSigur Rós的な要素が再び全面に出てきた感じ。
 

 というわけで、「( )」が好きな人は、このアルバムも好きなんじゃないかと思います。
 一方、「( )」よりも「Takk...」や「Med Sud I Eyrum Vid Spilum Endalaust」のほうが好きな身としては、やや過去のイメージをなぞっている印象も受けました。
 そして「Ágætis Byrjun」にあったような鮮烈なアイディアのようなものもないですね。
 Sigur Rósらしさが出ているアルバムなので、ファンにはオススメですが、サマソニに向けてとりあえず何か聴きたいというのであれば、やはり「Ágætis Byrjun」をオススメしますね。


Valtari
Sigur Ros
B007P4OSZ2


Agaetis Byrjun
Sigur Ros
B003YM32GA