『007 スカイフォール』

 007のファンというわけではないのですが、監督が『アメリカン・ビューティー』、『ジャーヘッド』、『レボリューショナリー・ロード』のサム・メンデス、そして映画の日ということで初日にもかかわらず見てきました。
 Yahoo映画なんかの評価を見るとイマイチのようですが、個人的には面白かったです!
 まずは、冒頭のトルコ・イスタンブールでのアクションシーン。バザールの屋根の上をバイクで疾走し、列車の上でショベルカーを動かして車両に飛び移る、ありえないけど、物理的に絶対無理という荒唐無稽なものではギリギリのところをうまくついたアクションでいきなり盛り上げてくれます。雰囲気的にはポール・グリーングラスの「ボーン・シリーズ」に近い感じですね。
 ジェームズ・ボンドを演じるダニエル・クレイグも今回が3作目になりますが、前任者たちよりもやや渋めのボンドをうまく演じていると思います。
 

 ストーリーの軸となるのはボンドの上司のM。ジュディ・デンチ演じる彼女とボンドの関係、そして敵役のハビエル・バルデムとの関係がこの映画の焦点となります。
 というわけで、この映画のヒロインはボンドガールというよりもおばちゃんのM。ナオミ・ハリスベレニス・マーロウという女性も配置されているのですが、ともに印象はやや薄く(特にベレニス・マーロウ)、なんだかんだでジュディ・デンチがボンドガールの位置を占めているような映画です。
 また、過去の007シリーズへの目配せもいたるところでされていて、昔の007シリーズを見ている人はクスっとできるシーンが多いでしょう。特にアストンマーチンDB5が登場するシーンではあの音楽も流れて、なんだかんだで興奮します。


 やや弱い点はせっかくハビエル・バルデム使っている割にはインパクトが薄い点。『ノーカントリー』であれだけ存在感を見せたんだから、もうちょっと魅力的にすることができたんじゃないかと思う。『ダークナイトライジング』を見た時も思いましたけど、この手の映画だと悪役の魅力というのも重要ですよね。
 

 とはいえ、007シリーズの良さを受け継ぎながら、冷戦が終わりスパイ映画が成立しにくくなった中で、時代の変化を受け止めた脚本になっていますし、なんといってもアクション映画として単純に楽しめます。お色気を期待すると肩すかしかもしれませんが、見応えのある作品だと思います。