tha BOSS/IN THE NAME OF HIPHOP

 Tha Blue Herbのフロント、BOSSのソロアルバム。客演にYOU THE ROCK★がいたり、DJ KRUSHのトラックがあったりと、すべてのトラックをO.N.OがつくっていたTha Blue Herbに比べると、トラックに関してはバラエティに富んだアルバムといえるでしょう。
 ただ、BOSSのリリックは基本的にTha Blue Herbのここ最近のアルバムとそれほど変わらないです。3rdや4thを評価する人は楽しめると思いますし、1st、2nd派はやや不満が残るかもしれません。
 3rdや4thが好きな身としては素直に楽しめましたね。


 トラックとして良かったのは、Pentaxx B.Fのつくった"MATCHSTICK SPIT"。ピアノの音を使った明るめでありながら少し切ない感じのトラックが、BOSSのラップと見事にハマっていると思います。
 他にもDJ KRUSHがつくったトラック"LIVING IN THE FUTURE"もトラックとしてはそれほど強い個性があるものではないかもしれませんが、BOSSのラップとの相性は非常に良いと思います。


 この"LIVING IN THE FUTURE"あたりが代表ですが、40過ぎてラップやり続けている自分と周囲のズレを感じさせるリリックはいいですね。
 20代は「ネクタイなんか締めやがって!」で押しきれるわけですが、40代になってそう言い続けるのはたんなるガキでしかないわけで、それを知りつつ、それでもカタギにはならないという覚悟というのがこのアルバムの一つの聞き所なのではないかと。
 そのためというか、B.I.G.JOEと組んだ"WE WERE, WE ARE"にしろ、YOU THE ROCK★と組んだ"44 YEARS OLD"にしろ、客演を迎えたといってもアゲていくような曲ではなく、未だにカタギになっていない自分たちの位置を再確認するようなものになっています。

 
 もっとも、おそらく1st、2nd派にとってはそういったリリックが物足りないのでしょうね。自分なんかはBOSSと世代的に近く、ネクタイ締めた平凡なカタギの人間としては、このあたりのリリックが陳腐であっても、刺さるところがあるんですよね。
 あとは、ラストの"...RELEASED ALL"の「あとはこのまま終わっていきます」が好きですね。



IN THE NAME OF HIPHOP (1CD通常盤)
tha BOSS
B014KTN5J4