THA BLUE HERB / 2020

 THA BLUE HERB、5曲入のミニアルバム。去年、2枚組のセルフタイトルのアルバムが出ていたことに気づかなったかという情弱ですが(音楽雑誌読まなくなるとこのあたりがダメですね)、このミニアルバムには気づくことができました。

 というわけで、THA BLUE HERBのアルバムとしては「TOTAL」以来なわけですが、「震災」というテーマのあった「TOTAL」に比べると、BOSSの私小説的な面もありますが、ソロアルバムの「IN THE NAME OF HIPHOP」のような人生振り返りモードではなく、今思っていることを素直にラップしている感じがありますね。

 漠然とした印象に過ぎませんが、韻なども比較的わかりやすく踏んでいるような気がします。

 

 そんな中でも「社会派」な曲が"2020"。♪トランプが今のオーナー 棒読みプロンプター♪といった政治批判もありますが、それよりも印象に残るのは♪REST IN PEACE ノムさん イカした奥さんと末長く仲良くな♪というリリック。野村監督夫妻への評価って、自分が年齢を重ねるに連れ、あるいは時代の変化につれて変わってきた感じもするのですが、BOSSもそうなのかな?と思って、非常に頭に残ります。

 また♪2020 今年は長かった春休み 音楽は衣食住の次♪とあるように、コロナによる音楽業界へのダメージが素直に語られているあたりも、2020年の世相をよく表しているのではないかと思います。

 

 コロナが未だにおさまらずに、本当にライブを中心とした音楽のシーンはどうなってしまうのか? という感はありますが、このミニアルバムは、そんな中でも静かに踏みとどまってやろうという決意を感じさせますね。