Nasの10枚目のアルバム。
Nasに関しては、前作の「Untitled」は個人的にはかなり好きなのですが、ファンが求めていたのは今回のようなアルバムではないでしょうか。
最近のHIPHOPのアルバムではやたらにゲストを呼んだり、オートチューンを使ったりすることで変化や「新しさ」を出そうとすることが多いですが、このアルバムは直球勝負。よく練られたトラックにNasのラップが小細工なしにのっている感じ。
ラップのスキルに良し悪しについてはあれこれ語れるほど詳しくはないですが、前半から3曲目の"A Queens Story"あたりを筆頭に切れていると思う。
トラックでは7曲目の"World's An Addiction"の重々しいトラックが良いアクセントになっている。そして、こういう思いトラックにもしっかりとNasのラップは対抗できている。かと思うと"Back When"みたいな軽めのトラックにもうまく合わせてくるわけで、このアルバムではNasのいろいろな面が楽しめるようになっています。
そしてゲストに関していえば何と言っても"Cherry Wine"のAmy Winehouse。
昨年亡くなったAmy Winehouseですが、そのソウルフルな声はさすがの存在感。ラストに「Life Is Good」とラップを被せてくる展開はやや臭い気もしますが、このアルバムの流れの中では説得力がありますね。
というわけで、かなりいいアルバムなのですが、シングルになった"Nasty"はデラックス・エディションのみに収録。
通常盤に"Nasty"も入れて1時間くらいにまとめてくれたほうが個人的には良かったですが、70分超でもダレずに聴けると思います。