東京事変、フルアルバムとしては2011年の「大発見」以来、10年ぶりのアルバムとなります。
椎名林檎としては「日出処」(2014)、「三毒史」(2019)とアルバムを出していて、「三毒史」では宮本浩次やトータス松本、櫻井敦司などの男性ボーカルをゲストに迎えて、椎名林檎のプロデューサー的な面が目立っていましたが、今回はバンドの一員ということで「三毒史」とはまた違った印象となっています。
若い頃に比べると、さすがに椎名林檎のパワーもやや落ちていて、初期の東京事変のように個々のメンバーがいくらガチャガチャやっても椎名林檎が歌えば決まるという感じではなくなってきて、以前のものに比べると、精巧につくられているイメージです。
そのため、前半はややおとなしい感じもしますが、冒頭のキーボードが印象的な"黄金比"あたりから乗ってくる感じですかね。つづく"青のID"も、軽快なピアノに乗っていくような曲で、刄田綴色もドラムもあって、楽しい浮遊感が感じされる東京事変ならではセンスが出ている曲です。
10曲目の"獣の理"はいかにも東京事変っぽいメロディで、アレンジも決まってますね。
つづく"緑酒"は本アルバムでもっとも派手さを感じさせる曲かもしれません。♪乾杯日本の衆〜♪のところがサビとしての一番の盛り上がりと思わせて、さらに♪自由よ〜♪のところでもう一段盛り上げてくるとこがいいですね。
ただ、以前だったら歌の部分でさらに盛り上がったんじゃないかという感じはあり、初期のむちゃくちゃなバランスで成り立っていた頃が少し懐かしく思えることもあります。